今、放送作家になりたい人が読むにはベストな1冊です。安達さんの「視聴率200%の男」はやや自己自慢的な印象を受けたが、本書は構成作家になりたい未来の卵たちのために、構成作家の表と裏が紹介されている。基本的に構成作家は将来の先行きが見えない仕事。ピークの年齢も早い。基本的にフリーの契約のため番組が打ち切りになれば、明日のご飯も心配しなければならない。ただ、希望は少ないが夢がある。これを読んでも構成作家になりたい人は、その時点でライバルを一歩抜いているのかもしれない。
基本的に民放キー局で構成作家として起用されるのは1番組で最高5人〜6人程度。一節によると、メジャーで活躍できる構成作家は100人もいないのではないか?と言われる。構成作家の仕事が何なのか?簡単に説明すれば、番組における企画やアイディアを出したり、番組の台本を書いたりするのが仕事です。コント台本を書くといえば説明し易いのでしょうか…。絶えず良質なアイディアやネタを考える事を求められる構成作家。本書の中では夏休みの最後の日の宿題という比喩で紹介されてますが、絶えず良質なアイディア。面白いネタを考える事は尋常ではない苦労が必要です。例えば、「めちゃイケ」で言う「数取り団」であったり、スマスマで言う「ビストロスマップ」といった企画だったり、最近では言えば「ピカルの定理」のコント台本を書くのが構成作家の仕事です。
ある意味では、その人の腕一本で食っていける職業といえるでしょう。
ただその分だけ、良いアイディアが出なければ構成作家として脱落の烙印を押されるでしょうし、番組の打ち切りによって自分の飯の種が無くなる可能性だってあります。やっぱり安定を求めるのなら大企業に勤める事を、僕は薦めたい。中小企業だっていいと思います。構成作家は夢があります。それこそ、著者の安達さんのように、「ダウンタウン」「ナイティナイン」「スマップ」といった巨星誕生に携われたという夢のある仕事です。その一方で、師弟制度が厳しかったり、深夜から明け方まで会議をしたり、そのまま徹夜明けで台本や企画を書かなければからない。といった事だってあります。ある意味で体力がものを言う仕事であると思います。
構成作家は稼げる商売だよ!と聞きます。実際、著者である安達さんはフェラーリを乗り回しているらしい。しかし、その分だけ弱者の墓場には無数の脱落者がいるのです。その覚悟と根性を持ってこれるか。僕はこの本を読んでも尚、「構成作家になりたい!」と思う人はライバルを一歩抜いていると思います。安達さんも元々ネタを書くのが上手。天才的な才能があったわけじゃない。ただ、がむしゃらに働いた結果が今だと思いました。ラジオのハガキ職人から始めてもいい。とにくかく自ら行動する事が大切です。
最後に、安達さんのこんな言葉を紹介して〆たいと思います。
放送作家の寿命は構造的に短いです。そして、次なる転身の場も約束されていません。「限りない快感と、必ず払わなくてはならない代償」その覚悟ができた人だけ、どうぞ、この世界の問を叩いてください。私はいつでも大歓迎します。