
ソフトバンクが米携帯電話3位の「スプリント・ネクステル」を約1.5兆円で買収した。これでソフトバンクはドコモを抜き世界で3番目の携帯電話会社となったわけだ。しかし、巨額な借金が嫌気され株式市場でのソフトバンク株は連日の安値を記録していた。ソフトバンクのアキレス腱は多額の負債なのだろうか?確かに、不安材料は消えない。だだ一番の問題は「iPhone」の存在なのではないかと思っている。日本で初めて独占的に「iPhone」を販売開始したソフトバンク。端末の人気も手伝って、加入者数の伸びが続いている。しかし日本市場において転機が訪れたのが2011年のauによる「iPhone4s」の発売だ。独占が崩れた。それまで電波の悪さに不満を持っていたユーザーが大挙してauに流れ込んでいる。
ユーザー目線から考えれば、ソフトバンクの一番の不満は電波の悪さだろう。地下で繋がらない。地方で繋がらない。ドコモから「iPhone」が発売されれば大量のユーザーがドコモに流れる危険性を持っている。ただ、ソフトバンクの一番の問題点は過度に「iPhone」依存している事ではないだろうか。
今回の買収によってソフトバンクは携帯電話世界3位となった。そしてもう一つの肩書きを手に入れたと思う。それは、
世界最大のアップル「iPhone」下請け会社。
という肩書きだ。
ソフトバンクの成長は「iPhone」の売り上げにかかっているとも言える。週刊ダイヤモンドの2010年7月24日号の「破壊王孫正義のソフトバンク」という特集によると、当時のソフドハンクの売り上げの約41%がアップル製品だったそうです。つまり、アップルの成長とソフトバンクの成長は一心同体という事だ。アップルがこければソフトバンクがこける。今はまだ故スティーブ・ジョブズ氏の残り香がアップルにはある。これからスティーブ・ジョブズの息がかかっていない完全にオリジナルの「iPhone」が発売される。6.7.8と発売された後にどれだけのユーザーが「iPhone」に残ってくれるのか?そこが問題点だろう。「iPhone」の無いソフトバンクにどれだけの魅力を与えられるのか?その点では「GALAXY」や日本メーカーのスマホを多数扱っているドコモ、そしてauの方がリスクヘッジできているのかもしれない。あれだけ宣伝されると、どうしても「ソフトバンク=iPhone」というイメージが強い。逆に、「ドコモ=GALAXY」とも言えるのかもしれないが…。
今回の「スプリント・ネクステル」の買収も同社が取り扱っている「iPhone」に戦略的魅力を感じた点だと思う。日本市場のみならず、世界最大の市場でも「iPhone」を売りたい、という孫さんの思いなのかもしれない。これはアメリカ市場に限らず、ヨーロッパ市場、果てはアジア市場での「iPhone」に繋がる一連の流れのステップなのかもしれない。
この投資が吉と出るのか凶と出るのか、それは孫さんの手腕次第だろう。
しかし、孫さんならやってくれそう!そういう淡い期待を抱いてしまう説得力が孫正義にはある。
電波の悪いソフトバンク。
「iPhone」のないソフドハンク。
ソフトバンクの未来は明るいようで暗い。暗いようで明るいのかもしれない。