大前研一氏と言えば、元マッキンゼーのコンサルタントで多くの著書を持ち政策提案や講演活動を行っています。大阪の橋下市長の大阪維新が「道州制」を政策などに掲げていますが、その20年前から「道州制」などの提案を著書を通じて行っています。そんな大前氏の原点とも言えるのが、ビジネスマンのために1985年に出版された「企業参謀」です。それが今、リメイクという形で注目を集めています。本書「企業参謀ノート[入門編]」は読者の中で難解と評される「企業参謀」を一般の読者にも分かりやすいように解説した入門編です。
「企業参謀」は難しそうだけど、入門編なら理解できそうだ。と思う方にはピッタリな1冊となっています。
基本的に内容は分かりやすくて良いです。しかし、入門編だからなのか内容がやや易しすぎる気もします。そして、この本の点数を大きく下げたゲ原因が11月に発売予定の「企業参謀ノート[実践編]」の宣伝が臭いという点です。2冊買って初めて「企業参謀」の概要が理解できる。そういう構成になっているのですが、1冊1400円の本を2冊かったら2800円になるわけで、普通にリメイク版の「企業参謀」を買った方がお得だという事です。しかし、入門編という事もありとても読み易く理解しやすい内容になっています。一部の記述が最新のものに置き換わっていますが、それでも30年近く前に書かれた本だと思えないほど内容が色あせないです。
最初から答えを持っている参謀など存在しない!まずは、自分の頭で考えことを始めよう。今の時代、ネットで調べれば大抵の情報は手に入ります。しかし、本当の参謀であるなら図書館やネットではなく自分の頭で考える必要があると大前氏は主張します。
図書館に答えを探しに行っても見つかる時代ではない。答えは自分で出せ!答えのない「今」という時代にその答えを見つけだそうとするのは愚の骨頂だ!
日常生活で戦略的思考力を養う2つの方法。一つ目は新聞やネットからの情報を意識的に制限してみること。2つ目は、「しょうがない」と受け止めている事を毎週1つずつ取り出して「しょうがある」ことにするにはどうすればいいかを考える習慣をつくること。今は情報過多の時代です。ほっておけば、自分の周りには情報が溢れてしまう。情報を制限する事で感覚が鋭くなり、情報に対する感度が高くなると思います。
参謀たる者は「イフ」という言葉に対する本能的な恐れを捨てなさい。プログラミングの世界は「もし〜ならず もし〜すれば」という条件分岐の連続です。ところが、日本人には「What is if 〜? 」という思考法が抜けています。参謀たる者は「What is if 〜? 」を恐れてはなりません。それを怠れば、震災による原発事故のように、大きな悲劇や損失を生み出す原因になる可能性があります。
問題解決の前に、まず、問題の存在に無頓着でいるその日本人気質から脱却しなさい!いまだに日本人の多くが「問題解決」が苦手なままであるいるようです。それどころか、問題を問題として認識する世界に欠けているようにも思えます。見てみぬフリをして前進して失敗するケースが多すぎるようです。問題解決は以下のような行程で行われるそうです。
1.問題の発見
2.設問の設定
3.設問への解答
4.解答の実現
1の行程を見つけられなければ、2.3.4の行程を適切に行うことは不可能です。これでは神風が吹かなければ問題解決などできません。絶えず問題点を発見する姿勢が第一に求められるのでしょう。
とりあえず、入門編としてはOKです。ただ、実践編を買うかどうかは悩みますよね。文庫で「企業参謀」は発売されているので、そちらを買っても良さそうです。