ずっと疑問に思っていた。ゲーム業界の先駆者である任天堂やソニーが苦戦する中で、GREEやモバゲーといったソーシャルゲームだけが何故、儲かるのか?たった数年前まで存在していなかった企業は瞬く間に成長し、今や1000億円企業になってまった。ソーシャルゲームに月数万円。多いときには月数十万円も課金するユーザーがいる。その理由はなんだろう?と。通常のパッケージゲームなら数千円で楽しめるのに、人は何故、ソーシャルゲームに惹きつけられるのか。
この違いはなんだろう?と思っていた…。
その答えが今回紹介する「ソーシャルだけがなぜ儲かるのか?」で分かった。今年読んだ中で確実にベスト3に入る本です。お勧めです。著者はDeNAでソーシャルゲームの運営に関わってきた方。単刀直入に答えを言ってしまえば、ソーシャルゲームにおいてゲームの面白さはあまり関係ないという事が分かりました。いかにヒトを惹き付けるか。それが重要になってくる。という事で、「ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか」について、本書を参考に解説してみようと思います。
●1.驚異的なマネタイズ力。
まず、世界的なソーシャルメディアである「Facebook」を比較してみょう。GREEやモバゲーの会員数が約3000万人。対して「Facebook」の会員数は約8億人。ARPU(1人の契約者あたりの平均収入単価)で計算すると1ユーザーあたりの年間400円程度(月間にすると30円〜40円)になります。売り上げ約3000億円、純利益800億円。これに対してGREEやモバゲーの1人あたりのARPUは年間で1500円稼げるサービスになっている。こんな公式がある。ソーシャルゲームを構成する大切な要素だと思います。
ソーシャルゲームの成功方程式=この公式でソーシャルゲームの成功が決まります。
「ソーシャル(人を集める力)」×「ゲーム(人を熱狂させる力)」×「アイテムマネタイズ(熱狂をお金に変える力)」
●2.ソーシャルゲームをやっている人。
ソーシャルゲームで毎月何かしらのゲームをやっているユーザー数は約2000万人だと言われているそうです。大体1人あたりのARPUは1500円。1人平均2.5ゲームプレイすると、プラットフォームで課金をするユーザーは約400万人。400万人の内訳は、ヘビー課金ユーザー40万人で約2000億円(1人あたり月間4万円、年間50万円)、ミドル・ライト課金ユーザーが360万人で年間1800億円(1人あたり月間4000円、年間5万円)。平均すると400万人が月6000円課金することで年間約3000億円の市場が形成されている事になります。パチンコユーザーの平均単価が月5万〜6万で年間50万円だと考えると、ソーシャルゲームのヘビーユーザーと大体同じくらいです。
ただ、コンプガチャの規制のように、圧倒的にヘビーユーザー層に偏っているゲームもあるそうです。
●3.熱狂をお金に変える力。

僕も含めてソーシャルゲームの初心者がまず真っ先に思うのが「なんて、つまらないゲームなんだろう」という事でしょう。ドラクエやFFとはまったく異なるゲーム。ただボタンを押すだけ。ゲームの殆どがパラメーターで占められていて、ドラクエのような謎解きもなければストーリー性もない。しかし、いつの間にかゲームにのめり込んでいる自分がいる。一見すると、ゲームとしては問題がある。ただソーシャルゲームにおいては、それが正しい選択肢とされている。上の表で言えば、ソーシャルゲームは完全にAの部分を省いている。Aを旧来のゲームに当てはめるなら、「スーパーマリオブラザーズ」でマリオがジャンプしたり、走ったりすることです。ソーシャルゲームが一番重視するのがDの項目です。ギャンブルやガチャに当てはまる項目で、ソーシャルゲームが他のゲームと一線を画している点はここにあると思います。
ソーシャルゲームが新しい点は以下に要約されていると思います。
この業界が鍛えてきたノウハウとは「人を熱狂させる力」ではなく、あくまで「熱狂をお金に変える力」だということだ。●4.現代のゴールドラッシュ。
ソーシャルゲームが儲かる理由、それは圧倒的な低コストです。10数名で運用されメンテナンスに数百万円も掛からないコスト構造。公表では利益率40%〜50%と言われていますが、ワンショットで見れば90%、95%もの利益率をたたき出す。ハイリスクハイリターンどころか、低リスクハイリターンなのが現実です。それで1タイトルにつき月間で10億円。年間で100億円を超える収益を上げるというのだから驚きです。
●5.ソーシャルゲームが東大、京大卒を採用する理由。
先日の「ガイアの夜明け」でソーシャルゲーム大手「GREE」の採用について特集されていた。驚いたのは新卒にも関わらず、最高年収が1500万円にも達すること。もはやテレビ局よりも高い。DeNAが2011年に採用した44名のうち、東大卒19名、京大卒6名と半分以上が日本の最高学府で占められている。これは何故だろうか?ソーシャルゲームで重要なのは素晴らしいゲームやゲームに精通したクリエイターではなく、日々集まる情報を分析しフィードバックする能力。本書では「ウォールストリートのヘッジファンドアナリスト」と説明されている。
大事なのは、どれだけマリオを愛しているかではなく、「多変量解析」により要素の抽出ができる人間。「モンテカルロ解析」を使った無数の乱数シュミレーションができる人間が求められます。
●6.ソーシャルゲームが流行る理由。
本書を通じて思った事は、ソーシャルゲームはゲームのようでゲームでない存在という事です。旧来のゲームがもっていた人を喜ばせ、感動を与える仕事ではないという事です。いかに1人でも多くのユーザーから多くの現金を徴収するのか。本書でも語られている事ですが、「熱狂をお金に変える力」だと思います。大体、1タイトルあたりの寿命は長くても2〜3年。ARPUとユーザー数の減少が交わった時にゲームとしての終わりを迎える。ソーシャルゲームが今後も続くためには、いかにユーザーに優越感を与えるか、競争心を与えるか。ある意味で「虚像の創出」がキーワードなのかもしれないと思いました。
是非、手にとってみてください。とても良い本です。
いつも、ブログ、楽しみに拝見させていただいてます。
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ところで、質問があります。
ブログを始めたのですが、アフィリエイトのリンクの貼り方を教えてもらえませんか?
まめタンクさんの本のアフィリの表示は、Amazonと楽天と図書館を選べるようになってますよね?
これってどうやってやるのでしょうか?
ぜひぜひ、教えて頂ければ幸いです。
宜しくお願いします。