音楽業界に対する憧れは若者であれば持っていると思います。ミスチルが好きとか、小室哲哉みたいなプロデューサーになりたいとか(ビートルズは最近の若い人はあまり聴かないかもしれないけど…)。ギターを買ってみたり、しシンセサイザーを買ってみたり。でもミュージシャンにはなりたいけど、実際にどんな仕事をするの?という疑問はあると思います。実際、譜面は本屋て売っていても音楽業界に関する本は少ない気がします。本書「音楽を作る売るという仕事」では、音楽制作の裏側が詳細に書かれています。作詞作曲とは具体的に何をするのか?スタジオミュージシャンとは?今までベールに包まれていたもの。暗闇に照らされた部分にスポットライトを当てるイメージです。著者は華原朋美、V6、KinKi Kidsなどの楽曲を手がけるプロデューサー。
個人的に一番気になった点は、やはり、印税の部分でしょう。
「作詞作曲に対して支払われる印税は1000円に対して約30円。それを作詞家作曲家で分割する。作詞作曲をしている場合は30円支払われるが、作詞、もしくは作曲だけの場合は1枚につき15円が支払われる。1枚1000円で100万枚売れたとして、3000万円が入ってきます。アーティストの歌唱印税は1%。90年代のメガヒット時代ならともかく、いまや1万枚売れてもヒットと言われる時代。1万枚だと30万円しか入ってきません。小室哲哉氏がMAXで稼いでいた96年頃の長者番付によると推定所得は20億円くらいですから、あれだけ売っても思ったほど入ってこないという印象でしょうか。」
一番この本の中で驚いたのは「編曲」に印税が入らないという事です。編曲と言えば曲で流れるギターやピアノの音を決める大事な作業です。それに対して印税が入らないのは驚きでした。90年代後半のメガヒット時代には「作詞・作曲・編曲」全てを手がけるプロデューサーかいたわけですが、今は分業化が進んでいるようです。ライブに関しても殆ど儲けはなく、ファンとの交流が目的というのも興味深い話しでした。音楽業界で働きたいという人には厳しい内容かもしれませんが、やはり現実を見せてくれたという点では参考になります。音楽業界と豆腐屋さんは同じ市場規模だそうです。やはり音楽は100万枚を超えるメガヒットが生まれてこそ維持できる。逆に言えば、100万枚売れないと成り立たない構造を抱えているのかもしれません。メジャーデビューしたからといって安泰というわではない。それに加えて、沢山の人が関わっているという事が分かりました。これを読んでも尚、音楽業界を目指したいという方は、きっと成功できると思います。逆に、この本を読んで「うわっ、大変そう」と思った方は諦めた方がいいのかもしれません。


