著名ブロガーのちきりんさん絶賛という事で手に取ってみました。正直に言うと、かなり難解…正確に言うなら専門知識がないと読むのに苦労する。僕は経済の専門家でもないですし、経済危機について凄く知識があるわけでもない。基本的に本書で語られている事は、経済危機の1970年代から始まった経済危機のルーツを探りながら、リーマンショックに端を発する経済危機、そして日本の製造業が衰退している理由。簡単に説明すれば、「モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか」に集約されると思います。

経済危機の中でも金融立国して成長するアメリカやイギリス。その反対にモノづくり立国として衰退を始めた日本とドイツの例を比較して紹介してあります。1980年代に国家の再建を託された米英のレーガンとサッチャー。この2人の功績。例えば、鉄の女として知られるサッチャーが行った金融自由化と国営会社の民営はイギリスを工業国から脱工業国へと変身させた。90年代以降の世界にとって大事なのは、中国の先を行くということだと野口氏は指摘する。確かに、今や殆どの製品が中国や新興国で生産されている。中国よりも1歩2歩進んだ商品を出さなければ生きていけない。製造立国としてのモデルは既に破綻していると指摘されている点は興味深かった。今や生きていくにはITや金融といった新しいスタンスに立つ必要があるのかもしれない。リーマンショックこそあれ、イギリスやアメリカといった金融立国は成長の兆しを見せている。

野口氏が指摘する処方箋は以下の通りである。

1.古いものの生残りを支援しないこと。
2.教育こそ最大の投資。
3.21世紀のグローバリゼーションを行うこと。

先進的なモデルとしてヨーロッパ最貧国の1つ知られていたアイルランドの例が紹介されています。アイルランドは90年以降、積極的な外資の受け入れ態勢を整備してきた。その結果、GDPでは日本1.3倍にまでに成長した。北海道と同じ面積。確かに、金融立国は不安定な一面もあるが、北海道とほぼ同じ規模。ここから学ぶことは多いのかもしれない。

とても興味深い指摘が多々あった。

閉塞した日本社会を復活させるための処方箋として、また金融業界の歴史を知れる1冊となっています。本書は2008年から東洋経済で連載されていたものを再編集したものですが、やや時代錯誤はあるものの、言っている事は先端を走っていると思います。難しいけれど、読んだ時の爽快感という達成感はありますよね。機会があったら読んでみてください。