英語に時間を使うくらいなら、まず教養を身につける。日本の文化や歴史を知らない人間が、いくら英語で武装した所でその内容の薄っぺらさは拭えない。著者は真っ向から現在の英語教育を否定する。確かに、中学・高校と英語を学んでも英語が話せるようにはならない。それは、日本の英語が受験のための道具になっているからだ、と指摘する。本書は英語学習以上に、その国の文化や教養を見に付ける事を説く。そのために必要なのが読書だ!というのが著者の主張だ。英語本でありながら、異色である。
僕、自身も英語を中学と高校で学んできたが、一向に話せる気配はない。日本人の多くが「流暢に英語を話せたらな」と思っている。しかし、本当に英語が必要なのは全人口の1割程度だという。日本人の人口が約1億2000万人なので、英語が本当に必要なのは1200万人程度という事になる。学校のクラスが30人なら将来英語を使うのは3人という結果になる。これは適当な数値ではなく、ちゃんとした根拠があるのだと著者は言う。
「現在、海外に長期滞在している人の数は2009年時点で76万人、年の平均では56万人。これらの長期滞在者が4年間(大学と長期赴任を想定した年数)5歳から80歳までの滞在者を4で割ると19だから、先ほどの19にかけて、56万人に19をかけて、約1077万人となる。経済産業省の調査によると、外資系企業に勤めている人は102万人。これを加えると1179万人となる。つまり、日本語が必要なの人口の10%」だという結論に至る。勿論、他にも通訳や英語教師、飛行機の客室乗務員なども含まれるが、それを加えても英語が本気で必要なのは1割くらいだと思う。
最近の、ユニクロや楽天の英語公用化についても触れられている。本書では「チョドメ(超ドメスティック企業)」という比喩で紹介されている。一見、戦略として間違ってはいないように思えるが、慣れない日本語で書類を作ったり、楽天などでは英語のニックネームが付いていたりするらしい。「ツイッターでは楽天社員だと思われている人が、「重要なことなので日本語で失礼しますという言葉が流行ってきた」とつぶやき、ネットではちょっとした騒ぎになっていた。これが本当のことなら、最高のギャグだと思う」。外資系企業であるマイクロソフトに勤めていた成毛さんですら、部長以上にならないと、英語は必要ないと言っているように、重要なことは母国語である日本語でやった方がいい。本当に英語対応にするなら、本社を海外に移転すれば済む話です。「年に1回しか乗らないのにマイカーを買うくらいムダな行為」だと指摘する。最近では、子どもをインターナショナルスクールなどに通わせて、子どもの頃から英語を学ばせる親が多いらしい。しかし、それは子どもにとっては酷な話だとも思う。結局、どちらも中途半端、日本語に上手く対応できないという結果が出ているらしい。確かに、インターナショナルスクールに通っても、家に帰れば親と日本語で話す。この矛盾はなんなのだろう…。
本書は英語学習の是非を問う事が主であるが、実は、真ん中のパート。若者や現代に送る激励とも言える。これが本書を買う理由にしてもいい。本書をそれは端的に言えば「本を読め!」という事に尽きるが、以下の文にいいたい事は要約されていると思う。
「教養とは、自分が生まれ育った国の思想や哲学、感性などを育むために必要なのである。それはなくてしまったら、今の日本は無効性で品性のない人間ばかりになってしまったのだろう。」
英語が話せても、日本の分野や歴史を語ることができなければ、何の意味もない。英語について肩の荷が降りた。たぶん、本書を読む9割の人が英語学習への無意味さを感じるだろう。ちなみに、本書は英語を真っ向なら否定するが、全ての人に英語が必要ないとは言っていない。これが、アマゾンなどのレビュアーが勘違いしている点だ。英語が必要な1割には英語が必要だという。そのための成毛さん独自の英語勉強法が紹介されているので、もし英語が必要な1割の方かいれば、読んで損はないと思う。
仕事柄、外国人と話す機会もそこそこありますが、中学英語の文法と、その分野の専門用語の英訳を知っていればなんとかなります。
要は、自分の見解や知識、気持ちをしっかり表明できるかどうか、多少の文法ミスは枝葉末節です。
職場の同僚で、アメリカの政財界VIPとホンネトークができる人がいますが、彼の英語は、三単元すらいい加減です。相手に伝えたい自分のメッセージがいつも明確なのです。
本当に国際派の外国人は、「自分は日本語が話せなくて申し訳ないが」.という人が少なくありません。
むかし、日本の英語学校で、日本語の挨拶を交えたら、怪訝な顔をされましたが、このガイジンは馬鹿かと思いました。あんたが今いるのは日本だし、日本語もわからないのかね、といいたい。
私の知り合いの奥様、外人さんから日本語話せないんですかと英語でいわれ、返した言葉は、Why don't you speak Japanese ?
もっと自分と日本に誇りを持ちたいですね。