成毛さんの本は「大人げない大人になれ」「日本人の9割に英語はいらない」と今作も合わせて3冊目。成毛さんの持論として「本を読んでいる人間は成功している」というものがある。僕も同感だ。本書のタイトルは「本は10冊同時に読め!」だ。速読術に並ぶ新しい読書術の提案かと思ったが、それは副題に過ぎない。本題は「本を読まない人間はバカだ」というものだろう。知的生きかた文庫は何冊か読んでいるが、タイトル負けの本が多い。これ俗に言う「知的生きかた文庫マジック」なのだろう。この本も例外ではない。たぶん、成毛さん初見だったら刺激的だったが、3冊も読んでいると、要約すれば、言っている事は皆同じだと思う。本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)posted with amazlet at 13.01.07成毛 眞
三笠書房
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ただ、言っている事は前面的に支持できる。
まず、できる人間ほど本を読んでいる人は成功しているのは事実だろう。ユニクロの柳井さんやソフトバンクの孫さんなどは、かなりの読書家だと聞く。しかし、ただ本を読んでいればいいのか?というと、必ずしもそうとは限らない。
たとえば「趣味は読書。最近読んだ本はハリポタ、セカチュー」という人は、救いようのない低俗な人である。また、ビジネスハウツー書ばかり読む人も、私から見れば信じられない人種である。まず、「金持ち父さん 貧乏父さん」系の本を読んでいる人、こうすれば儲かるという投資本や、年収1500万円稼げるといった本を読んでいる人は、間違いなく「庶民」のままで終わるだろう。できる社員系の本を読んでいる人も同じである。なぜなら、他人のノウハウをマネしているかぎり、その他大勢から抜け出すことはできないからだ。耳の痛い言葉だ。ただ確かに、成功者たちで「僕は、このノウハウ本を読んで成功しました!」という人は見ない。そもそもこの世の中に成功本で本当の意味で成功した人はいるのだろうか?とも思う。
本書のタイトルになっている「本は10冊同時に読め!」とは何なのか?
よく速読で短時間で10冊読めるようになる本の類が出版されているが、その類とはまったく違う読書である。これは最近気づいた事だが、多読家であるほど本に対して求めるものが高い。別の言い方をすれば、つまらなかったらすぐに読むをやめてしまう。もっと言えば、本は全て読む必要が無いとも言える。成毛さんが本書で語っている方法は、様々な場所に本を置いておく。それこそ、リビング、トイレ、カバンの中。それをトイレの間、テレビのCMの間。移動中の電車の中で読む。それこそ、10分という短時間だ。読者の中には「それじゃ内容を忘れてしまう」と思うかもしれないが、短時間で集中する事で、いつも以上に内容が定着するそうだ。
いい本を選ぶ方法についても「まず、まえがき。そして、目次」という点について共感できた。おもしろいのが、本を読む際に「目的」「メモ」を取らないという点だ。齋藤孝氏が提案している3色ボールペン読書術を真っ向から否定しているのが面白かった。曰く、「三島由紀夫の作品に色ペンで線を引いて読むのか!」という事らしい。成毛さん自身は真っ向から読書を肯定している。逆に、読書しない人を真っ向から否定している。我々は無意識に「本=高い&難しい」と思っているが、マーケットプレイや図書館を使えば、それほどコストは高くない。難しい本からではなく、簡単な本からレベルアップいればいいと思います。
成毛さん初見の人にとっては、とても刺激的な本てす。ただ、個人的に成毛さんだったら「日本人の9割に英語はいらない」と「大人げない大人になれ」をお勧めします。