知の巨人として知られる「佐藤優氏」が読書法について綴った本。僕は前から思っていた。年に500冊、1000冊の本を読みますという著名人や作家の話を機会がある。各言う著者も「献本だけで月に100冊」「新刊が70冊〜80冊」月間で300冊近い本を読破するそうだ。年間にすれば3000冊を超える。それも全てのページに目を通しているから驚きだ。巷では、速読術に関する本が溢れている。目の動かし方や姿勢を変える、「文字を追うのではなく、写真のように読む」という事が言われている。確かに、それが出来たら凄い事だ。ただ、セミナー費用が数十万円かるというのだから、凡人が易々と習得できるものではないと思う。読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門posted with amazlet at 13.01.12佐藤 優
東洋経済新報社
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この本を読んで強く思った事は、世間一般に「驚異的な読書数」を誇る人の多くが、一字一句全ての文字を追っていない、という事です。佐藤氏も月に300冊読むが、その中でも熟読するのは月に6冊〜7冊程度だと言う。
1ヶ月に熟読することができる本が3〜4冊ならば、それ以外の本は速読することを余儀なくされる。著者が毎月目を通している300冊のうち、熟読している本は洋書を含めて6〜7冊だ。熟読する本を2冊増やすのは、そう簡単なことでない。熟読する以外の本は、速読、超速読のいずれかで処理する。(中略)1冊5分で処理する「超速読」が240〜50冊、30分から2〜3時間かけて取り組む「普通の速読」が50冊〜60冊である。佐藤氏の速読はセミナーなどで教わったものとうよりも、自己流で身につけた読書術のようだ。「速読の第一目的は、読まなくてもよい本を外にはじき出すことである」と言っているように、速読て大事なのはページを追うことではなく、取捨選択で読む本、それも読むページを確認する事です。厳しいおこずかいの中で「これは面白そうだ!」と思った本を丁寧に読みたい人にとっては衝撃的かもしれない。本書で語られている事は、読書としてよりも「いかに大量の情報を頭に入れて、活用するか」という点にあると言っても過言ではありません。
色々な本を読む中で問題なのが、どの本の意見が正しいのか?また、間違っているのか?という点です。本書では面白い提案がされている。
入門段階で、基本書は3冊、5冊と奇数でなくてはならない。その理由は、定義や意見が異なった場合、多数決すればよいからだ。2冊、4冊だと、仮に定義や意見が真っ二つに分かれた場合、読者が判断しなくてはならないことになってしまう。ちなみに、著者は以下のように本を読破するそうだ。
【熟読】
1.まず本の真ん中くらいのページを読んでみる。
2.シャープペン、消しゴム、ノートを用意する。
3.シャープペンで印をつけながら読む。
4.本に囲みを作る。
5.囲み部分をノートに写す。
6.結論部分を3回読み、もう一度通読する。
【普通の速読】
1.「完璧主義」を捨てて、目的意識を明確にする。
2.雑誌の場合は、著者が誰かで判断する。
3.定規を当てながら1ページ15秒で読む。
4.重要箇所はシャープペンで印をつけ、ポストイットを貼る。
5.本の重要部分を1ページ15秒、残りを超速読する。
6.大雑把に理解・記憶し、「インデックス」をつけて整理する。
この本で興味深かったのは、本を読む知識の前提として、「学校の教科書に書かれている事」が重要だと説明する。確かに、歴史や経済の知識は中途半端な知識を身に付けるよりは、教科書を読んだ方がいい。著者の生活もおしろい。読書に1日6時間。それ以外は執筆作業に当てているらしい。月に1000枚もの原稿を執筆するそうです。たぶん、この本は小説よりも「ビジネス書」「実用書」などを読む時に参考になるでしょう。本を「情報入手の手段」として考えるなら、この方法はオススメです。内容は刺激的だった。本物の「知」を手にいれる入り口となるでしょう。僕自身、今年の手帳は「ほぼ日手帳」にしたので、気になった話を手帳に書き記しておきたいと思います。


