去年、買ったものの中で一番良かったものは?という質問があるなら、間違いなく「Kindle」だと答える。まだ紙の本に比べると圧倒的に少ないが、本によってはディスカウント販売されていたりする。時には、「マーケットプレイス」より安い本まである。最近では、「Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学」これは洋書の翻訳なのでリアル本だと、かなりの厚みがあるがこれがKindleなら文庫以下の重さで読めることになる。本書「ルポ 電子書籍大国アメリカ」は、そんな電子書籍大国アメリカに迫ったルポだ。「Kindle」ではアスキー新書が投げ売りされているが定価が700円の本、これが電子書籍なら350円くらいに値引きされている。ただ問題なのは、「アスキー新書の罠」だ。実は、「Kindle」におけるレビューは電子書籍だけではなく、リアル本とのミックスで評価される。この本が出版されたのが、2010年。たぶん、当時からすれば「日本じゃ殆ど普及してない、紙の本に勝てるわけがない」とか「アメリカで電子書籍がブームらしい、すごい!」と衝撃と驚きがあった。しかし、今やKindle、楽天のコボを始め、数千円という低価格で電子書籍端末が買えるようになるとは、当時、殆どの人が思っていなかっただろう。(確か、当時のKindleが4万円とか言われていた時代です)ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書)posted with amazlet at 13.01.14大原 ケイ
アスキー・メディアワークス
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たった2年弱で世界は大きく変わった。あと数年後には、紙で本を買う事自体がマイナーになっているかもしれない。
新書は「生もの」という表現が正確か分からないが、やはり誰よりも早く読んだ本が評価は高い。今、Twitterの初心者用の本を出す事がモグリのように。ただ、この本全ての内容が陳腐化しているのか?というと、答えはノーだ。やはり既得権益、つまりお金の面で、電子書籍の普及を阻害している部分がある。たぶん、これは昔も今も根強く残っているだろう。
まず、アメリカにおける書籍の売り上げ配分についてみていこう。
どんぶり勘定どころか風呂桶のような大雑把な数字で申し訳ないが、 ハードカバーの本1冊(約25ドル)を作って売った場合、その売り上げは以下のように分配される。これはおそらく、日米でそんなに違いはないだろう。 著者とエージェント(いわゆる印税) 約10% 出版社(編集、印刷、製本、マーケティング) 約50% ディストリビューション(いわゆる取次業) 約10% リテイラー(いわゆる書店) 約30%これはアメリカ特有と言うべきか、アメリカでは日本に当たる編集者の役割をエージェントと呼ばれる人が行っている。電子書籍のメリットはやはり製本コストの削減だろう。しかし、本に占める割合は20%。全体から考えると10%程度になる。
よく見てみれば、同じ売れ筋の新刊でもノンフィクションやビジネス本は15ドル近い値段になっているし、売れ筋のトレード・ペーパーバック(ソフトカバー)は12ドル前後と、紙の本とあまり変わらない値段設定になっている。そして、刊行後数年経っているものはそれよりもさらに数ドル安い、というのが大まかな値段の目安だ。よくアメリカは、日本よりも圧倒的な低価格で電子書籍が販売されている。と、想像する。しかし、実際は版権や印税の問題が絡んで必ずしも低価格で販売されているとは限らない。ウォルマートやアマゾンが仕掛けたように一部の本で10ドル以下で販売されていたりもする。
よく見てみれば、同じ売れ筋の新刊でもノンフィクションやビジネス本は15ドル近い値段になっているし、売れ筋のトレード・ペーパーバック(ソフトカバー)は12ドル前後と、紙の本とあまり変わらない値段設定になっている。そして、刊行後数年経っているものはそれよりもさらに数ドル安い、というのが大まかな値段の目安だ。結局のところ、アマゾンが提供するのは低価格な本ではない。
アマゾンの強みは、オンラインでショッピングをする際に生じるすべての「サービス」の充実度なのだ。そして、アマゾンが設立当初から今も変わらず最も力を入れているサービスが、「読書体験」の提供なのである。という事だろう。最後に著者はこんな言葉で締めくくっている。
本は死んだりしない。佐野眞一の本も『プレジデント』に連載中は、「『本』は届いているか」という真っ当至極なタイトルだったという。電子書籍の登場で従来の本が死んでしまうとか、出版業界が崩壊するなどと支離滅裂な感情論・文化論を振りかざす輩は、紙の本に慣れすぎて耳がアナログになってしまっているのではないか。デジタルに生まれ変わりつつある本が、「ちゃんとここにいるよ」という声が聞こえないに違いない。個人的な感想としては、むしろ日本の方が電子書籍が普及するのでは?という思いでした。数年後、電車の中で電子書籍を読んでいる人で溢れていたら面白いですよね。


