成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈
成毛 眞
ベストセラーズ
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スティーブジョブスはある意味でバブルの様相を呈していた。ジョブズの伝記が100万部を超える大ヒットとなった。プレゼンの極意や生きかたを綴った本もベストセラーとなり、誰もが第2のジョブズを目指していた。そんな人たちに、カンフル剤となるのが、本書「成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈」だ。成毛さんと言えば、「大人気ない大人になれ」「日本人の9割に英語はいらない」といった本で痛快な指摘をしている。本書でもその力節を期待したが、やや息切れ感がある。ジョブズと成毛さん、どちらが凄いかと言えば、圧倒的にジョブズだ。ただ、言っている事は成毛さんも筋が通っている。「どれだけジョブズのことを知っても、あなたは100%ジョブズにはなれない」。確かに、そうだと思う。

世間一般、特にジョブズの伝記を読んだ人の中には、マイクロソフトがOSのデザインをパクったされている。しかし、現実は違うようだ。そもそも、昔のパソコンはクリックといった概念がなく、操作するには高度なコマンドを入力する必要があった。それを革命的に変えたのが、マウスという存在だ。それをジョブズが発明したように思われているが、実は、この技術を開発したのパロワルト研究所のアラン・ケイという人だ。のちに、ジョブズはマイクロソフトを裁判で訴える事になるが、それに参加しアラン・ケイは、どちらの技術でもない自由に開発したらいい。と言っている。ジョブズの功績はやはりiPhoneたろう。しかし、それも圧倒的な技術力ではなく、既存の技術の組み合わせでしかないと成毛さんは指摘する。1990年代に既に似たような製品が日本のパイオニアから発売されていた事は驚きです。(革新的すぎて売れなかったらしいが…)
一方、平凡な子どもが読む自由課題必勝ガイドブックに当るものこそが、大人で言う一連のジョブズ本であり、ビジネス書なのである。すでにお分かりかと思うが、クリエイティビティーのある・ないというものは、単純に少数派に入れるかどうかなのだから、「クリエイティビティになれますよ」なんて書いてあるベストセラー本を読んでいる時点で、クリエイティブとは全く逆の方向へ引っ張られていることに気づかなければならない。
あの宮崎駿も言っているように、「面白いものを面白いというのも個性だが、つまらないものを面白いというのもまた個性だ」という事でしょう。その点において、著者は詰め込み教育について語る。

この本はジョブズ本という位置づけだが、正確に言えばジョブズ本ではない。
ジョブズの名を借りた成毛本だ。いつもならその成毛節に共感するところだが、やはり3冊も読んでいると、それほどのインパクトはない。「ゼッタイという言葉は胸を張って言え。」「やりたい事は片っ端からやれ」といった点は共感できた。ジョブズ本を何冊か読んでいる人には刺激的たと思います。ただ、ジョブズ本ではないですよ。