AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)
秋元康 田原総一朗
アスコム
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10代、20代そこそこの女の子グループの「AKB48」を束ねる秋元康という人物。構成作家としてテレビ番組のエンドロールに名前が載っていたり、美空ひばり「川の流れのように」の作詞としても有名だ。そんな秋元さんが次ぎに仕掛けたのが、今や国民的アイドルグループとなった「AKB48」だった。本書は、そんな秋元康と「AKB48」について、「朝まで生テレビ」の司会を務める田原総一朗さんが迫った本だ。全編通して田原さんと秋元さんの対談という形で構成されている。田原さんはもう80歳近いらしいけど、自称「AKB48ファン」だそうだ。

本書の魅力はやっぱり今までベールに包まれていた秋元康のヒット論について触れている点。何故、「AKB48」を作ったのか?自分の立ち位置やヒットの極意まで余すところなく語られている。この辺はやはり田原さんならでは…かもしれない。この本の中でも語られている事ですが、「AKB48」はある意味でドキュメンタリーだという事です。秋元さんはそれに劇伴を付けていく作業だという。個人的に興味部深かった点は、54歳のおっさんが何故、あんなに女の子心の知れた歌詞を書けるのか?という部分です。秋元さん曰く…
かつて僕が考えたことは、50歳になっても何も変わらない。僕が中学生や高校生だったときの気持ちを思い出せば書けるんですよ。僕にとってAKBは、作詞するきっかけであり、作った曲を歌うプレイヤー。AKBの女の子たちを見ていて、僕が発信したいことを彼女たちとリンクするとどうなるか、あるいは僕のなかの青春を彼女たちに投影するとどうなるか、という作業をしているわけです。言い換えると、僕は「観察日記」と呼んでいるんですけど、いつも対峙している彼女たちを見て僕が何を感じるかです。それを言葉にしているだけですよ。
ベースは自分。その上で彼女たちに触れることによってインスパイアされるということなんですね。さらに、AKBがヒットする理由を、ある種の素人感があるからと言う。「えっ、AKBってこんなにヘタでいいの?」ある意味で劇場から始まったAKB。それは東京ドームで公演を行った今でも、その大切さであったり重要度は変わらない。劇場あってのAKBだという自負みたいなものがあるらしい。秋元さんが言う「部活終わりで髪の毛がぐしゃぐしゃの子がいい」という言葉にも表れていると思います。
実際に秋葉原に劇場を作り、ロビーで座って入ってくるお客さんを見ていたり、お客さんと一緒に劇場の前にいると、バイクを車で走らせているかのように、風がビュービュー吹いて風に当る。これが80キロだと。(中略)風は、ちょっとくさい言い方をすれば「生きる」という実感です。「リアル」ってことです。バーチャルな数字ではなく、劇場入場者が80人なら、目の前に80人がいるわけです。その1人ひとりが大声を上げて一生懸命応援したり、目を驚かせてメンバーの1人だけを見続けたりするのが、ものすごいリアルな風なんです。
先ほどのAKBはドキュメンタリーがあるって書きましたが、AKBはある意味で楽曲とか公演ではなく、1人ひとりが成長する過程。それを応援するシステム。みたいなモノが魅力なのかな?って思いました。高橋みなみさんが言った「努力は必ず報われる。それを私は人生をもって証明したい」という言葉に表れているのかもしれません。田原さんとの対談で「AKB48劇場の公演は、絶対に負けられない「真剣勝負」」だと語っていますが、ある意味で社会の縮図みたいなものがあるのかもしれません。

たぶん、この内容だったらもっと点数が高くても良かったかな?と思いますが、秋元さんのモノの見方が特殊だっていう部分で少し点数は低めです。この本の魅力はなんと言っても78歳の老人と54歳のおっさんが、20代そこそこのきゃぴきゃぴの女の子について語るという部分です。それはたぶん、間違いなく面白いコンテンツです。