考具 ―考えるための道具、持っていますか?
加藤 昌治
阪急コミュニケーションズ
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「考具」はかなりの名著なので知っている人も多いと思います。個人的にずっとアイディア術に関する本は、ジェームス W.ヤングの「アイデアのつくり方」が最高だと思ってました。たぶん、20世紀という意味では最高の本だと思います。しかし、21世紀に入ってからの最高のアイディア術本は何か?、と聞かれたら、まっさきに「考具」を挙げると思います。古今東西、様々なアイディア術が紹介されていて、これ1冊を読めばたぶん相当なアイディア体質になれます。簡単ですが、本書で紹介されているアイディア術「考具」を紹介してみようと思います。

●今世紀最高のアイディア術の本「考具」がすごい!
アイディアに溢れている人たちとそうでない人たち、見開きしている物事はほぼ、同じです。電車で会社に通っているわけだし、自宅で見ているテレビ番組も同じ。違いは意識しているかどうか、の1点なんです。言い換えれば、無意識であってもアイディアのヒントになるものを探しているかどうか?ということ。キョロキョロしているかどうか?ということ。
確かに、アイディアが出る人だけが特殊な状況にいるわけではありません。アイディアはある意味で、誰にでも平等と言えるでしょう。
アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何者でもない
これは「アイディアのつくり方」にも共通する部分です。

・考具1 カラーバス

これは、普段意識しないものを意識する事。例えば、今日は「赤い物」をたくさん探すぞといった目的を持って外出する。すると、ポストであったり信号であったり、世の中には、こんな赤い色をあったなんて!といった具合に沢山の新しい発見をする事ができます。 普段意識してないものも、意識する事で見えてくる世界はあると思います。

・考具2 ちょいメモ

人間はとにかく忘れがちです。あっ、面白い事考えた!と思っても数時間経てば、あれ?あれってなんだったっけ…といった事になります。最近は、iPhoneなども普及しているので、さらさらっとメモをするのが簡単になりました。その上級テクニックとして絵でメモするといのも方法の一つです。頭の中のものを、外に出す…そんな気持ちで書くといいそうです。

・考具3 七色いんこ

手塚治虫先生の漫画「七色いんこ」が元になっている方法です。これは、アイディアを得るために演じるという方法です。「生活者の気持ちになって考えみょう」「お客さんの立場になって考えろ」よく言われる事ですが、自分が本人になりきって演じる事で、今まで気付かなかった事に気づかせてくれます。最初はちょっと恥ずかしいですが、アイディアのため。といって割り切りも必要かもしれません。

・考具4 フォトリーディリング

これは最近、流行ってますね。やはりアイディアを生み出すためには、沢山の情報を頭の中にインプットする必要があります。映像からの情報というのも一つの選択肢ではありますが、やはり活字からの情報。とくに、本からの情報は有効です。しかし、1冊に3日とか4日かかってしまっては、読む気も情報も少なくなってしまいます。そのための方法が「フォトリーディング」です。単行本が1日に200冊発行され、雑誌が4500誌も発行されている昨今です。よく、速読と勘違いされる特殊な方法を習得しなければならない。といわけではなく、本の中から必要な情報だけをピックアップする方法です。例えば、パラパラっと読んで、あっ1章のあそこと5章のあそこは参考になるな。といった具合です。身銭を切って買った本を全て読まないのは忍びない感じもしますが、そこはアイディアのため。と割り切りましょう。

・考具5 臨時新聞記者


これは「七色いんこ」に共通する部分ですが、自分が興味を持っている場所。担当している仕事の中で、これは関係ありそうだ。という場所に新聞記者のように現場に行くことです。食品であればスーパーだったり。製造なら工場だったりします。取材して得た情報を、先ほどの「ちょいメモ」のようにメモする事も大切です。

・考具6 マンダラート

これは、マスの真ん中に自分が欲しいアイディアの元を書き。周りのマスにその答えを書くものです。

マグカップ

・考具7 オズボーンのチェックリスト

これは、あるお題に対して、用意された項目に答える形でアイディアを出す方法です。
オズボーンのチェックリストは全部で9ヶ条あります。
1.転用したら?
(現在のままでの新しい使い道は?)
2.応用したら?
(似たものはないか?真似はできないか?)
3.変更したら?
(意味、色、息や臭い、形を変えたらどうなるか?)
4.拡大したら?
(大きくする、長くする、頻度を増やす、時間を延ばすとどうなる?)
5.縮小したら?
(小さくする、短くする、圧縮する、短時間にするとどうなる?)
6.代用したら?
(変わりになる人は物は?材料、場所などを代えられないか?)
7.置換したら?
(入れ替えたら、順番を変えたらどうなる?)
8.逆転したら?
(逆さまにしたら?上下左右・役割を反対にしたら?)
9.結合したら?
(合体、混ぜる、合わせたらどうなる?)
・考具8 アイディアマラソン

これは手帳やノートにアイディアを綴っていく方法です。詳しくは考案者である樋口健夫さんの著書に譲りますが、たった1行であっても毎日付けることで年間で365個。10年なら3650個のアイディアが蓄積します。やはり毎日とか定期的にアイディアを書くのは大変ですが、上で紹介した考具を使ってアイディアを量産しましょう。

というわけで、ざざっと紹介しました。詳細が知りたい方は是非、本書を手に取ってみてください。
他にも、このブログで紹介し反響を頂いた「アイディアしりとり」という方法も面白いです。やはり名著である「アイディアのつくり方」も読んでおくと良いのかも知れません。

誰でも1,000個のアイディアを大量生産できる、「アイディアしりとり」がすごい!