勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
梅原 大吾
小学館
売り上げランキング: 301

ここ最近、読んだ中で間違いなくトップ3に入る名著だ。著者はプロゲーマーとして「世界で一番長く賞金を稼いでいるゲーマー」としてギネスに認定された。まぁそれだけなら普通の自叙伝だろう。しかし、本書は、いかに勝ち続けるのか?いかに努力するか?これはゲームに限らず全ての勝負事。全ての仕事に適応可能だ。著者である梅原氏にはゲームしかなかった。がむしゃらにゲームにのめりこんだ。そして世界最強のプレイヤーとなった。しかし、時に挫折や後悔を繰り返した。ゲームから離れ、麻雀に没頭した時期もあった。ゲームから離れ介護の仕事に就いていた時期もあった。しかし彼にとってゲームは人生だった。食事も喉を通らず大会で破れた時もあった。悩んだ。その中で得られた教訓は大きい。以下、簡単に勝ち続けため、努力するための極意を紹介してみょうと思います。

●勝ち続けるには?

99.9%の人は勝ち続けられないという前置きを置いた上で、こう綴る。
勝ち続けるには、買って天狗にならず、負けてもなお卑屈にならないという絶妙な精神状態を保つことで、バランスを崩さず真摯にゲームと向き合い続ける必要がある。バランスを保つ方法は人それぞれだと思うが、僕は、自分も人間だし相手も人間であるという事実を忘れないようにすることが、バランスを崩さないことだと考えている。つまり、自分にも相手にも特別なことは何もないということだ。

自分が勝てたのは、技術の正確さ、経験、練習量といった当たり前の積み重ねがあったからで、得体の知れない自分という存在が相手を圧倒して手にした勝利などでは決してないということ。
●「気になることをメモする」

メモとを取る事は大切だと指摘する。仕事や生活でちょっと疑問に思った事をメモする「まぁいいか」と放置しておいては、小さな問題が大きな問題に発展し、大きな成果を出す事はできません。

●失敗していることこそが指標になる。
失敗を恐れずに行動しているかどうかは、自分がいま止まっているかどうか、前に進んでいるかどうかのいい指標にすらなると思う。

「成長していないかもしれない」
「プレイに変化がないような気がする」
「俺はいま止まっているかもしれない」

そう感じたら、すぐに変化の手を打つべき合図だと考える。
どんなに頑張っても勝てない相手がいる。それが楽しいのだと言う。仕事でも「俺、成長してないかも」と思ったらまだ何かの手を打とう。

●人の目を気にするということ。

努力をする事が必ずしも自分を成長するとは限らない。しかし、こんな効果があるんだと、梅原氏は指摘する。
これまでの経験から、諦めなければ結果が出るとは言い切れない。だが、諦めずに続けていれば人の目が気にならなくなる日が来るのは確かだ。そして、人の目が気にならない世界で生きることは本当に楽しい、と確信を持って断言できる。
これは武道の世界で言う剣に迷いかない。といった事なのかもしれない。「周りの目が気になる」と思ったら、それ以上に練習や努力をしょう。

●盗んで学ぶこと。

画家で言う模写なのかもしれないが、自分より上手な人を真似る事で成長する部分はある。ただ、真似をして自分の色をすぐに出すのでなく、ある程度の領域まで進んだら自分の色を出せばいい。
自分より上手い人の真似をしているうちに、その技がなんとなく自分のものになる。真似した人と同じレベルになって初めて、自分の色を出せばいい。何かを身につけたいと思うのであれば、丁寧に、慎重に、基本を学ぶべきだ。
●自分に合ってなくても、それを知れれば価値はある。

学生なら特にそうかもしれない。「自分は何が合っているのだろう?」そう悩む機会は多い。ただ考えていても仕方ない。とにかく飛び込んでみる。それがダメでも「ダメ」という価値は十分にある。
例えば、とにかく3年は打ち込んでみる。3年後、

「分かった!やっぱり好きじゃない。どうしても好きになれない」

そのことに気づけただけでも、素晴らしい発見だと思う。自分にとって何がいいのか思い悩むだけでなく、まずは行動する、漫然と変化を待つのではなく、行動によって環境そのものを変えてしまうのだ。
梅原氏は学生に人生の悩み質問された時も「みんな同じなんだよ」と答えている。

●500段の階段を登るのではなく5段ずつ登ろう。

どうしたらゲームが上手くされるのか?
そんな質問をされる機会があるそうだ。そんな時に梅原氏は、500段の階段をいっきに登るのではなく、5段ずつ登る。最初は5段、その次に5段、その積み重ねで500段の階段が登れると言う。ああ、確かにそうだな、って思いました。ちょっとの努力が大きな成果を生むんですよね。

本書ではゲーマーである梅原氏の本ですが、ゲームに限らず悩みを抱えている全ての人に参考になる本だと思いました。こんなタイミングでこの本に出会えた事に感謝です。