Dan Hesse, CEO of Sprint Nextel Corp.
Dan Hesse, CEO of Sprint Nextel Corp. / @jbtaylor


アメリカの携帯大手スプリント・ネクステル買収で注目を集めた日本のSoftBankに異変が起きているようだ。株式70%を201億ドルで買収すると合意してから数ヶ月、アメリカの衛星通信大手ディッシュ・ネットワークがSoftBankを上回る金額で買収提案をしている事が分かった。情報によると、ディッシュが提示額は1株当たりにして7.00ドルで、スプリントの12日終値におよそ12%のプレミアムを上乗せした水準となっており、ソフトバンクの買収案をおよそ13%上回るとしている。SoftBankは買収金額に上乗せする資金として、現金で1兆円ほどを保有しており、体力的には十分な余力がある。

その上で、SoftBankが冷静を保っている背景には巧みな戦略があるようだ。
スプリントがソフトバンクとの買収合意契約の破棄を決断する場合、ソフトバンクは違約金6億ドルを受け取る。
ソフトバンクは、買収完了時にスプリント株主に払う残りの170億ドルを1ドル=82円20銭で先物ヘッジしている。円は昨年11月以降急落しており、16日夕の東京市場で1ドル=97円86銭となっている。この為替レートで、ソフトバンクは25億ドルの含み益を得る立場にある。
ソフトバンク、スプリント買収断念でも利益40億ドル - WSJ.com
などの戦略があり、買収に失敗したとしても、総額で41億ドルが転がってくる計算だ。しかし、孫社長の野望は大きいようで、ディッシュよりも高い金額を提示する可能性は十分にある。今後の動向にも注目が集まりそうだ。