ニコニコ動画でお馴染み夏野さんの本です。先日、夏野さんの「1兆円稼ぐ男の仕事術」という本を紹介しましたが、今回は、企業の衰退や繁栄、働き方などを「複雑系」というキーワードを使って解説します。Amazonの評価はイマイチでした。しかし、読んだ身としては「面白かった」という感想を抱きました。本書のタイトルは「なぜ大企業が突然つぶれるのか 」になっています。実際、本書の帯にも「アップル、ソニー、シャープはどこが違うのか?」という文句も見られますが、基本的にタイトルとの整合性はありません。アップルに関する話もソニーに関する話も殆どありません。
●複雑系という言葉。
この本をもの凄く要約すれば「いつまでも安定が続くわけではない、変わらなければ突然死が待っている。それは企業にとっても個人にとっても」という事になるでしょう。例えば、本書を貫くキーワードとなっている「複雑系」という言葉。元々は物理学や経済学の用語で、これは本書の中では、こう説明してあります。
「部分が全体に、全体が部分に影響し合い、要素ごとに切り分けた分析が困難なシステム」世の中は予測できるようで予測できない。バブル崩壊こそあれ、日本は年功序列賃金制や年齢によって昇格するシステムが機能していた。しかし今の時代、自社が販売している商品がいつまでも売れる保証はとこにもない。今、成功している事が明日には失敗するかもしれない。アップルがiPhoneでガラケーを破壊したように、、。そんな中で必要なのが本書のキーワードになっている「複雑系」という言葉です。
世の中は「自己組織化」つまり、「あるきっかけによって、あたかも統率されているかのような方向性や秩序を持つこと」。一度、良いという評判が広まると、次第が人が集まってくる。それは、AndroidやiOSのようなものだし、ゲームで言えば「ニンテンドーDS」のように、人気のハードには良いソフトが集まるという事でもある。欧米企業に比べて「仕掛け作りが苦手」だとされる日本企業。しかし、それはウソだと夏野さんは指摘する。例えば、任天堂やソニーがゲーム機を原価以下(逆ザヤ)で発売し、ソフトの手数料で儲けるシステムを構築している。「仕掛け作りが苦手」と言っている間に、欧米企業や韓国企業にシェアを奪われている。
●部下に仕事を任せ、言い訳させない。
夏野さんは現代のリーダーに必要な資質を以下の4つだと言う。
1.方向性を示す。
2.ディテールを知る。
3.哲学を持つ。
4.昨日と同じ事を疑う。
●私憤ではなく義憤を持てるか。
本書の中で一番グッときた言葉でした。
義憤とはつまり、道義に外れたことや不公平に対する憤りであり、「本来こういうシステムのほうが望ましいはずだ」「この仕組みが、世の中に害を及ぼしている」という、社会に対する問題意識です。対して、私憤とは「上司が嫌だから、代えてほしい」「自分が仕事がしやすい職場環境にしてほしい」といったもの。本当にリーダーなら私憤を義憤にする必要がある。
夏野さんは最後に自分が目指すべき道をこう綴っている。
いま私がもっともやりたいこと。大それた発言に聞こえるかもしれないが、それは「世直し」だ。と言う。結局、本書で言われている事は、世の中を疑い自分の信念を持って仕事に取り組む事。そうすれば他から一歩抜きん出る事ができるし、企業の突然死を防ぐ事できる。他にも、会社で使えるエッセンスなどが盛り込まれている。この本はもの凄く熱い。ある意味で温度差によって躊躇してしまうよう場合もある。しかし、シャープやJALのように大企業であっても突然死する時代。自分がどんな姿勢で仕事に望んでいるかによって結果は大きく変わってくる。
とても読みやすく刺激的内容でした。


