こういうIT系の本は数年読む時期が違うだけで、だいぶ時代錯誤感生まれてきますね。本書「iPhone vs. アンドロイド」では、iモードの生みの親である夏野氏が携帯の未来に関して語るという内容です。アップルのiPhone投入、そして、Googleが携帯のOSである「Android」を提供した事で、日本のガラケーは屈託されたつつある。夏野氏はそれを踏まえた上で、「iPhoneVSAndroid」という構図は間違っていると、説明する。アップルは携帯やiTunesストアを筆頭に垂直的なビジネスモデルを行うのに対して、AndroidはGoogleが広告収入の拡大を目的に無料で提供しているもの。無料であっても、広告収入が増えればいいと考えている。本書は「iPhone vs. アンドロイド」というタイトルが付いているが、本題はどちらかと言うと、サブタイトルである「日本の最後の勝機を見逃すな!」にあると思います。

日本のガラケーは世界に先かげてインターネットに対応した。それは、夏野氏が手がけた「iモード」の恩恵だったりする。つい最近まで海外のケータイはインターネットは使えばショートメールと電話が主な使用方法だったそうだ。そこに変えたのがジョブズの功績であるiPhoneだったりする。夏野氏は日本の携帯電話が爆発的な進化をした背景には、本書で黄金の2000年代前半という言葉を使って説明している。昔の携帯は今の携帯のように、独自の携帯電話そのものをメーカーが作るというよりも、キャリアの意向を組んで開発されていた。それは、例えば「着メロが使えるように」だったり「ゲームで遊べるように」だったてりする。

それに拍車をかけたのが、携帯キャリアからの販売奨励金だったりする。今のちびっ子は知らないと思うけど、昔の携帯電話は機種変更でも殆どの端末が0円だった。今は家電量販で買うのが当たり前だけど、昔は「どこどこの携帯ショップが安いよ」という話題が話のテーマだったりした。なぜ、このような事が可能だったのか?というと、まだ携帯電話が全人口に普及しておらず、販売奨励金を払ってもまだ加入者は伸び続けていた。それに加えて、新しい端末を販売する事で、1人あたりの収入というのは伸び続けてきた。しかし、2000年代後半には携帯の普及は1億台を突破し、1人に1台の時代が訪れた。それに加えて、国から販売奨励金制度に対する実質的な廃止を告げられ、このシステムは逆回転を始める。

携帯キャリアが独自の端末を開発できなくなった今、携帯キャリアは将来的に土管屋(携帯の使用料だけで成り立つ)になるしかないのか?夏野氏は日本の携帯メーカーに対して、すぐにAndroidを採用しろ!と迫っている。日本の企業が海外勢に勝てない理由として、甘え、他人事、という事が挙げられる。日本には「ヒト・モノ・カネ」が余っているのに、、。

僕はこの本を読んで、日本の携帯メーカーの将来を悲観してしまった。スマホの登場で起こった変化の一番大きな点は「優れていれば、どの国の端末でもいい」という事だろう。未だに家電製品、特に白物家電においては、日本製への拘りは強い。しかし、ことスマホにおいては普通に、韓国のサムスン製やアップルの「iPhone」を使っている。2011年と2013年の変化を見つつ、読むと面白いのかもしれない。