今、エッセイが熱い。正直、ギリギリまで「大泉エッセイ」を買うか、こちらの「社会人学部」を買うかで悩んだ。そういう読者も多いだろう。ただ一つ言っておく、この本は間違いなく買いだ!オードリー若林と言えば、世間一般にはアメトーークでの「人見知り」や「女の子苦手」といった一面。ラジオを聴いているリスナーにとっては、攻撃的で世間を皮肉る一面がある。しかし、本書で書かれている姿、それが飾り気のない「若林正恭」本人の姿なのだろう。とにかく、面白い、そして人生に対して考えさせられる本だ。
とにかく、オードリー若林は考える人なんだと思った。考えに考え、考えに考える。その中で正解もあったり、正解が見つからない時もあるんだけど、その悩みが世間的に考えると「そうなんだよね」といった事が多い。
すごく良い本だった、今なにかしら悩みを抱えている全ての人に読んでほしい。
決して文才が優れているわけでも自己啓発本のような解決策が書かれているわけじゃない、ただ、自分と同じ事を考えている人がいる。ところどころに笑いを含めつつも、、さぁ人見知り学部に入ろう。
この本の帯にはこんな事が書かれている。
そのネガティブの穴の底に答えがあると思っているんだろうけど、20年間調査した結果、それはただの穴だよ。これはさらっと書いているようで、本質を付いていると思った。2008年にM-1で2位を勝ち取ったあとオードリーは飛ぶ鳥落とす勢いでブレイクしていった。それまで風呂なしの家に住んでいたそうだが、仕事が増え、風呂付きの家に引っ越した時の気持ちをこう表現している。
引っ越してからは家で毎日風呂に入れるのが嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。それまで歩いて5分の銭湯か原付で10分ほどのコインシャワーまで行っていたので3歩ほどで風呂まで辿り着けるということに感動を覚えていた。引っ越し初日にユニットバスにお湯を張って初めて浸かった時にガッツポーズをした。「勝ち取った。漫才で湯船を勝ち取った」本当にそう思えてとても嬉しかった。オードリー(当時はナイスミドル)がブレイクするまで8年間、それまで殆ど仕事はなく、公園にネタを考えるために行って相方(春日)とキャッチボールををして帰っていた。その間に5種類の変化球が投げられるようになって、相方は潜水で当時の日本3位の記録を持っている。他にも、オードリー若林のおばあちゃんが自宅の冷蔵庫にオードリーのスケジュールを貼っていたというのは良い話だな、と思った。一枚だけ堂本光一さんの写真だったのがツボ。
とにかく、オードリー若林は考える人なんだと思った。考えに考え、考えに考える。その中で正解もあったり、正解が見つからない時もあるんだけど、その悩みが世間的に考えると「そうなんだよね」といった事が多い。
その日の唯一の仕事はラジオの仕事だった。見た目は伝わらない。そうやっていろいろにことを試しながら、だんたん今のオードリーになっていった。今がベストな形かどうか分からないけど、他人の樽からおっさんがバンバン飛んでいるのを横目に剣をたくさん刺した記憶はある。そして、今の漫才の形が受け入れられた時、ようやくぼくの手元にある1つめの樽からおっさんが飛んだと思う。マキタスポーツさんの「1億総ツッコミ時代」という本を読んだオードリー若林が感想を伝えた時のマキタスポーツさんの返信には「なるほど!」と思った。
返信がきて「ありがとう!」で始まる文面の中に「オードリーみたいに引き受けた人はボケなんだよね」という文章があった。そうか!人と前に出で面白いことをしようかなんてこと自体がボケなんだ。だから、ツッコミまれるのもボケなんだ・つまり面白く生きられるんだ。この本ではオードリー若林曰く、意図的に春日の話を書かないようにしていたそうだ。しかし、1つだけ春日について触れている。ネタも書かない春日、売れない頃、一緒の移動でPSPで遊んでいる春日がゲームがうまく進まず肘掛けを思い切り拳で叩いた時、その倍の力で「なにやってんだ」と、肘掛けを叩いたそうだ。春日は売れない当時から幸せだったという。友達がいてゲームがあって、、オードリー若林とは対局的な男だ。しかし、オードリー若林は春日をこう思っているそうだ。
この世界でいろんなタイプの人にあった。ぼくぐらいの薄っぺらい人生で判断できることはとても少ないが。とんでもない天才今、結果が全てだという風潮がある。しかし、その一方でオードリー若林のように周りの芸人が1人また1人と去って行く姿を目の当たりにしていたそうだ。結果ではない、絶えず自己ベストを出し続ける事、自己ベストが更新し続ければ結果が来なくても別にいいのではないか?それを続けること、それが社会に参加にする唯一の参加資格だ、という文章で締めくくっている。
言われている人が、人から賞賛を求め、自己顕示欲を満たすために猛烈な努力をしていたりする。その根底には、孤独や埋めることのできない欠落感があったりするように感じる。春日は、正直本当に面白いことを言える人間じゃないと思う。でも、すごく面白い人間だと思う。それを、子供の集まらないぼくは真横で楽しんでいる。自分に自信があって、特別、自己顕示するために自分を大きく見せる必要のないマトモな男だと思う。ぼくは、とことんマトモになって幸福だと思ってみたい。できるなら上昇しつつ。ぼくは春日にあこがれている。
すごく良い本だった、今なにかしら悩みを抱えている全ての人に読んでほしい。
決して文才が優れているわけでも自己啓発本のような解決策が書かれているわけじゃない、ただ、自分と同じ事を考えている人がいる。ところどころに笑いを含めつつも、、さぁ人見知り学部に入ろう。