自分は何歳まで働くのだろう?少子高齢化が進み、年金の支給年齢が引き上げられ65歳、長い人では70歳まで働く必要が生まれた。人生を80年として、人生の殆どを会社や組織に奉仕する事になるのだ。今まであれば60歳で定年を迎え、60歳死ぬまでの20年間の余生を過ごす事ができた。しかし、70歳まで働くと考えたら、余生は10年ほどしかない。我々は死ぬまで働かなくてはならないのか?しかし会社の寿命は縮まるばかりだ。ちきりん氏は本書の中で、「パワーシフト」という本を紹介しながら、こんな事を綴っている。
1.大組織から個人へ by IT革命
2.先進国から新興国へ by グローバリゼーション
3.ストックからフローへ by 人生の長期化

大組織から個人へ、そして仕事は先進国から新興国に、そしてストック型の時代からフローの時代へ変わっていく。簡単な仕事は先進国から中国やアジアの新興国へ。ちきりん氏はその上で「一生のうちに一つの仕事につく」という常識を崩すべきではないか?と綴っている。本書のタイトルにもなっている「人生は二回、生きられる」という事だろう。確かに、不思議だ。若いうち、特に学生時代の就職活動というのは、高い給料を貰える大企業に人気が集中する。それは単に安心で高い給料が貰えるという理由からだ。中には明確に将来像を描いている学生もいるが、大抵の学生が就活の参考書を参考に似たりよ寄ったりの回答をする。「あなたがこの会社を選んだ理由は?」と聞かれて「お金です」とは答えずらいだろう。
正直、若いうちは何が自分に向いているのか?何て明確には分からない。「若者は3年で辞める」といったベストセラーもあるが、実際に働いて自分に合わないと思う事は別に悪い事ではない。その上でちきんりさんは、自分の向き不向きが分かった40代〜50代のうちに新しい仕事を探す。本書のタイトルにもなっている「人生は二回、生きられる」という事を推奨している。20代では分からなかった事が、40代で理解できる。大企業に就職したけど権限の大きいベンチャーに再就職するなんてのも有りだ。
人生が有限だと宣告された時に生き方が変わるとしたら、それまでの人生は、自分が本当に望んでいる生き方ではなかったという事です。私は30代後半以降、常に「人生はあと10年」という前提をおいて、キャリア設計や働き方のコントロールをするようになりました。10年後に人生が終わっても、後悔しない、本当に正しい人生だった、やりたいことがすべてできたと思える生き方をしようと決めたのです。
江戸時代のようにお米を作らなければ生きて行けない。それしか選択肢が無かった時代に比べると、今は制限はありますが、選択肢の多い時代です。自分が嫌だと思う仕事を定年まで(もしかしたら70歳まで)勤める必要はありません。確かに、リスクはあります。収入も減るかもしれません。でもお金が無くて楽しい人生と、お金があって不幸せな人生と、どっちが良いでしょう。本書でも書かれていますが、お金を貯めて老後を悠々自適に過ごす事は難しいです。結局、長く生きた者はお金が足りなくて、短く生き方者にはお金が余る。その長さは誰にも分かりません。
検討すべきは、「そんな仕事で食べていけるのだろうか?」ではありません。確認する必要があるのは、「そんな生活を、本当に自分は楽しいと思えるか?」ということです。それさえできれば、他のことが満たされなくても(=たいしてお金が儲からなくても、世間から褒めてもらえななくても)幸せで楽しいと思えるか、という事です。
人生、1回しかありません。つまらない仕事で一生を終える必要はありません。楽しいと思えるか?ワクワクできるのか?選択肢は色々ですが、2回目の人生を歩み出すチャンスなのかもしれません。具体的に明確に自分の未来を作り上げていく必要があります。それは本来、楽しい作業なのかもしれません。

最後に著者のこんな言葉を借りて終わりたいと思います。

そんじゃーね。(笑)