組織に所属するのではなく遊牧民のように、転々としながらフリーで働く「ノマド」という働き方。既に、会社に所属し嫌や仕事ではなく、多少、給料が減っても自由に楽し仕事のあり方もあると思う。ただ著者は元集英社に所属していた世間一般に言うエリートだ。ただの凡人が明日から「ノマドになろう!」と思ってなれるほど簡単ではない。大事なのは人脈だ。人間関係が希薄になりつつある現代で、何よりも人脈と縁が大切なのだ。人と人とのつながり、こんな時代に本書は古くさいのだ。
本書の著者である安藤さんは、仕事のばりばりできるエリートだったのか?というと、そうでもない。入社当時は意気込みがあったものの、仕事では空回り、満足いく成果は出せなかった。仕事に悩み鬱状態になった。仕事を休職し、治療に専念する事になった。その恩返しという意味で、安藤さんが考えたのが「1日1つ新しい事をする」という事だった。それこそ、ボールペン1本を備品ではなく、自分の好きなものに変える。 次第に仕事でも結果が出せるようになった時、安藤さんは決意する。それは恩人である人の死が影響していた、、。

「もしもこの世に、自分にしかできない、他に取り返しのきかない仕事があるなら、私はそれをやってみたい」
と決意。29歳の誕生日、30歳で独立する決意した。
今でこそノマドという言葉が一般化したが、当時はまったく新しい働き方だった。そんな安藤さんの助けになったのが「Twitter」に代表されるソーシャルメディアだった。つぶやきの中から、次第に仕事が舞い込むようになった。今では「笑っていいとも!」のテレフォンに登場するくらい、その筋では有名な方。

肩書きは持たない、営業はしない、それまでの常識を大きく変える。この本は仕事で成功するという要素以上に、働く意味を問いかける。ネット上にあるインタビューによると、集英社時代は年収1000万円近くあったそうだ。

その地位を投げ打ってでも余りある価値、充実感がノマドにはあるのかもしれない。こればっかりは実体験以外、分からない部分だ。たぶん、安藤さんに、仕事って楽しいですか?と聞けば、間違いなく、はい!と答えると思った。

10代や20代で仕事に悩んでいる人が、自己マーケティングする際には参考になると思う。
(基本的に視点が女性なので、女性が読むとより参考になるかもしれない。)

やはり今の時代、会社に属する事が全てではない。

ネットで稼ぐ事も現実的には不可能ではないだろう。ただ、これも現実であってもネットの社会においても同じだが、全ての人が成功する事はありえない。仕事を辞めてのノマドの世界に移るという事は、バラ色の人生ではなく、今の地位を捨てるという事だ。それは給料と安定を捨てる事です。その覚悟を持って望んで行くべだとも思う。ただ全体を通して新しい風を感じられた。内容は賛否があるだろうが、その点は評価できる。