:星野リゾートと言えば今、話題のリゾートグループだね。軽井沢の「星のや」を筆頭に全国で破綻した旅館やリゾートの運営を行っている会社なんだ。リッツ・カールトンなど外資系ホテルに客が流れる中で、顧客満足度が高いという事でも有名だね。そんな星野リゾートの運営の極意や実際の社員さんの奮闘ぶりが綴ったのが本書なんだ。

:彩は家族で北海道のトマムリゾートに行った事があるよ。山の上にあるカフェから見える「雲海」がすごかったよー!!

:本書にもその事が書かれているね。実は、これは星野社長のアイディアではなく、現場のアイディアなんだ。星野社長はメディアに頻繁に登場するのでトップダウンで物事を決めている?と思われているけど、実は大部分を現場の従業員さんたちが行っているんだ。トップダウンの終焉、考える社員の創造とも言えるけど、「雲海」だって元々はリフトの整備をしていた人が夏場に何をしたらいいか?と考えた末に生み出したものなんだ。

:そうなんだ!ずっと星野社長が怖い顔して、あれこれ指図するのかと思ってた。

:今では年間に1万人が訪れる人気イベントになったけど、元々は7人のカフェの素人さんが考えたものなんだ。

:他にも、赤ちゃん用に作った部屋が「更衣室」代わりになってしまった事があったんだ。その原因が元々は更衣室として使われている部屋で会議が行われて事なんだ。それを見たある社員が全従業員向けに「これは問題だ」という有無のメールを出したんだ。当時は、本当にメールを出してもいいものか?と悩んだそうだけど、意を決して送ったんだ。内心は怒られるのではないか?という不安もあったけど、真っ先に社長から「負けるな、がんばれ、新人」というメールが返ってきた。これがもの凄い励みになったと本書には書かれているね。

:同じ女性として尊敬しゃうな。彩は人見知りだからそんな事ではないけど、心のどこかで変わらなくちゃ!とは思ってる。でも勇気がなくって、、。

:誰でも勇気はないもの。勿論、意欲は大事だけど、誰もが意見できる環境を持つ事も大切なんだ。星野社長の手腕は勿論すごいけど、それ以上に現場の交流と団結を高める手腕が凄いんだ。
:こんな事もあった。軽井沢の旅館であるお客様に対して、間違って「焼酎の水割り」ではなく「お湯割り」を出してしまった事があったんだ。それも都合の悪い事にお湯割りが冷める頃には、頼んだ「おそば」が伸びてしまったんだ。そのお客様は「もう二度と来ない」といって帰ってしまったんだ。

:それを聞いた従業員は同じミスを起こさないために、改善しようと決めたんだ。その上でお客様に何をしたのか?というと、お客様の自宅に行って、なんと自宅のキッチンで天ぷらとそばを作って提供したんだ。そのお客様は機嫌が良くなって、再度また足を運んでくれたそうだよ。

:昔、バイトでお客様を怒らせてちゃった事があるの。ポテトLサイズを入れるのをSサイズを入れちゃったの。彩、何度も誤ったんだけど、許してもらえなくて。1人で家で泣いてた事がある。結構、ショックは大きかったよ。

:結局、この本が言いたい事はトップダウンで経営者が物事を決めるのではなく、できるだけ現場に任せる。従業員が協力してお客様に最前のおもてなしをする。それが利益も増えるしリピーターに繋がるっていう事を教えてくれる。

:この本の最後で「トップダウン経営に疲れた」と綴ってある。昔は星野社長もトップダウンで物事を決めていたらしい。でも新入社員が入ってきても社員がすぐに辞めてしまう。それは、社員が求めていたのは金銭ではなく、「自由」だったりする。この本で痛感するのは会社は組織は「人」で成り立っているという事なんだ。それはホテルや旅館に限らず、全てのサービス業(いゃ全ての企業に関係する)に共通する。

:業績が悪いのも、顧客満足度が低いのも全ては従業員次第だという事になる。だって現場で接するのは従業員なのだからね。

:会社は人なり、、だね!!

:その通り!

☆☆☆☆星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか? 73点(100点満点中)