:マッキンゼーという経営コンサルタントを手がける会社があるのは知ってる?

:マックナンダゼーの略?

:違う違う。世界的にも有名で、日本でも超有名な大学を出ないと入れないエリート集団なんだ。本書は、そんなマッキンゼーで最年少でマネージャーに昇格した田中さんという人が書いた本なんだ。帯には「ダメ学生」なんて書かれているけど、一橋大学の経済学部出身なんだから、バカではない。むしろ、頭が良いと言っても過言じゃないんだ。

:彩は頭の良い人苦手、、。でもバカも苦手、、。中間くらいの人と友達になりたいよ!!

:その採用試験がやはり変わっているなーって思う。普通、面接では学歴と印象で大体が決まるけど、マッキンゼーの面接では「鉛筆メーカーAの売り上げを増やす方法を考えなさい」っていうお題が出たんだ。普通は「えーっと」「あのー」「それで」的にもじもじしてしまうけど、ここで明確に答えが出せないと当然のように採用されない。田中さんは、ここでコモディティを活かして、徹底的に使い捨てできる環境を整備する必要があると言ったんだ。これが、10分とかそのくらいで考えたんだから、頭の回転が違う。

:えー、無理無理。全然、ダメ学生じゃないじゃん。ずるーーい!!

:超優良企業であるマッキンゼーの社員が何故、辞めるのか?それは、企業文化にも関係してくる。日本でも世界でもそうだけど、経営者の中にはマッキンゼー出身という人が多いんだ。例えば、モバゲーの創業者である南場さんとかね。マッキンゼーの企業文化には「UP OR OUT」というものがある。直訳すれば「成長しろ、できなければ去れ」という事なんだけど、新人でもいきなり考える事を要求されるんだ。それは、マッキンゼー的に言うと、「イシューを求めよ」という事。つまり、徹底的に考える事を要求される。
:彩なんかもそうだけど、考える事を一部で放棄しちゃうっていう事はよくある。頑張れば答えが出るのかもしれないけど、体が無意識のうちに「できない」って放棄してしまう事ってあるよ。そこが彩のダメな所かもしれないけど、やっぱり考える事って大切だよね。

:結局、田中さんがマッキンゼーを辞めた理由っていうのは、簡単に言えば自分の中でのマッキンゼーと、実際のマッキンゼーとの乖離だったりするんだ。マッキンゼーではある程度のレベルに達すると、会社からMBA取得の打診があるんだ。1000万円の授業料と年間100万円の生活費が出るんだ。すごいよね。それで田中さんもMBAのためにアメリカに行ったんだけど、日本に帰って来たら昔のマッキンゼーとは違っていたそうなんだ。マッキンゼーにはSARという評価基準があるんだけど、そこで結果が出せなかったんだ。

:あるある。上司とか会社の方針が変わっちゃって、今までの常識が通じないっていう事。特に、今までの環境に慣れてしまうと、かなり戸惑いを感じちゃう。

僕:結局、それで田中さんは辞めてロコンドという会社の代表取締役になるんだ。

:Amazonのレビューなんかを読むと、ロコンドという会社は赤字らしい。送料無料、返品は90日以内はOKというビジネスモデルは凄い。ただ、この本が何を意味してるいのか?は分からなかった。マッキンゼーに勤めるわけでもないし、本当にマッキンゼーから得た物が本書の中に書かれているとは思えない。あくまでマッキンゼーに勤めていた人の自叙伝みたいな本だね。マッキンゼーに興味があれば読んでいいけど、特別に何か得られる物は無かったのが残念なところ。正直、住む世界が違いすぎるよ。