最近、書店ではアベノミクスで日本が崩壊する。という主張の本と、アベノミクスが日本を救うという本という主張の本が大量に出版されている。今回紹介するのは後者の方。アベノミクスの効果を以前から唱えてきた方です。まず冒頭からタイトルが凄いです。「儲」いかにも資本主義的な言葉ですが、内容はいたって健全です。まず、序章で儲ける事の意味をこう綴ります。
儲けを無視した経済は成り立たないし、社会も成り立たない。なぜなら、人と動かす最大の原動力が儲けであるからで、国家が躍進するのはそのためである。それは当然の話である。「お金は汚い」なとど馬鹿げたことを言う人がいるけれども、それはお金が汚いわけでも何でもなく、儲けを否定するのは儲けられない人の単なる僻み根性でしかない。儲けはいいことで、自分が儲かれば、自然に人に優しくなれるものである。
まぁ誤解もあるだろうけど、儲けが悪だっていう事には共感できる部分もある。やっぱり稼いで批判されるよりも、稼いで沢山納税した人が尊敬される社会が正しいのではないか?とも思う。

今ではかっこいい言葉で表現される「ヘッジファンド、格付け会社、銀行、証券会社、新聞記者」など、しかし昔は「仕手筋、予想屋、利ザヤ取り、センミツ屋、羽織ゴロ」と呼ばれていた事実は面白かった。嘘と欺瞞が金融の世界であったりする。勝手に格付けして、勝手に世界を混乱に巻き込んでいる。日本では「国債の危機」や「ハイパーインフレ」を心配する声もあるが、国債のほぼ全てが円建てで、殆どの国債を日本人が購入してものが危機に陥る可能性は低いという。ハイパーインフレの定義は年率で約1万%の物価上昇だった。前後の危機状態でもその値に達しなかった。国債は国にとっては負債だが、持っている人にとっては資産なのだ。

民主党政権がダメダメだった事に対する分析も面白い。

・民主党もダメだった点はお金を人にバラまいた事(貯蓄に回るので、公共事業に比べて経済への波及効果が少なかった)。
・大臣や副大臣、政務官などを含めると100人以上の優秀な国会議員が必要だったが、人材が不足していた。
・民主党のマニュフェストはアメリカの広告会社が作ったもの。徹底的に国民受けする公約でまとめられている。


その上で、著者は国会議員ほ減らすのではなく、むしろ増やすべきだと主張している。

公共事業が全て善だとは思わないけれど、笹子トンネルでの崩落事故を見るように、日本のインフラはかなり老朽化している。日本維新の会などが掲げる「地域主権」これにも問題があって、富める所はより豊かに、貧しい所はより貧しくなってしまう。イオンの大型スーパーが出来て、地域の商店街が潰れたあげく、不採算でイオンも撤退して、その街には買い物をする場所が無くなってしまう、といった事なのかもしれない。地域主権は欺瞞だとばっさり。大前研一さん何かは「道州制賛成」の立場を取りますが、100%地方主権が悪いというわけでもない。ただ、元凶の原因はメディアにもあって、今世論を形作っているものの原点はメディアだったりする。新聞は正しい、は必ずしも正しくなくて、注意深くメディアには触れる必要がある。誰かが裏で糸を引いているのかわからないけれど、会見の内容が言葉一つで180度変わってしまう事だってある。今、安倍総理が行っている事は、アベドクトリンで、日本の活力を取り戻し、正しい方向へと導く事。それが安倍政権の目指す場所で、総称すれば「3本の矢」だったりするのだと思う。善と悪で言う「善」の本としては面白かったです。