最近、ちょこちょこと読んでいる家電関連の本です。
やはり家電業界と言うと「シャープ」の危機であったり、パナソニックやソニーの赤字が注目されます。


アップルやサムスンと比較して、「日本の家電メーカーはここがダメなんだ」と、日本人の多くがピン!と思う所はあるでしょう。(例えば、シャープであれば液晶工場。例えば、パナソニックであればプラズマ工場)製品自体がコモディティ化し、アップルのiPhoneに代表されるように、部品ほを集めれば後は中国の低賃金よろしく、という具合でリスクを最大までヘッジする事ができる。
4年に一度起きる好不況の変動を乗り越えられる企業だけが生き残り、体力のない企業は淘汰されていくということにつながります。この状況は韓国、台湾といった新興国勢にとって追い風になりました。半導体を使った液晶パネルそのものがコモディティ化されることによって、スケール的に体力のあるサムスンやLGが絶対的に有利になるというわけです。

とあるように、製品そのものがコモディティ化する一方で、シャープやパナソニックが国内に過剰な設備を作ってしまった。
パナソニックの数々の失敗は時代の変化についていけなか
ったという面がありますが、筆者が最も問題視しておきたいのは、まずやってみて、「ダメならすぐに撤退を考える」という姿勢が同社に見られなかったことにあります。長期間赤字を垂れ流した薄型テレビ事業が好例でしょう。

これが日本の日の丸メーカーが苦戦する一つの理由でもあります。そんな中で著者は、日本の家電メーカーが失敗した理由を以下の2つだと説明します。

1.海外などの交渉でその場で決断を出す事ができず、会社に持ち帰って検討していた。
2.顧客が本当に欲しいと思うものを作る事ができなかった。


その上で日の丸メーカー復活の要因はこの2点だとも言っています。

1.「経営力」スティーブ・ジョブズ氏のように、イノベーションを起こす製品が必要。
2.新しい市場を開拓し、需要を掘り起こす。


ソニーをホールディングス制(例えば、製品と娯楽を切り分けて検討する)にする事。これは先の海外ファンドから提案されました(実際、ソニーがどこまで検討したかは分かりません)が、結果的には現状を維持するようです。シャープにしても最新の「IGZO液晶」であったり、例で紹介されているソニーの「空間手ぶれ補正」のように、簡単にコモディティ化しないもの。そこに資源と力を集中させる事の大切さを綴っています。

今の時代、どこ製(日本製でも中国製)でも同じパーツを使っているのであれば、品質にそれほどの差はありません。デジタル一眼でも購入してみたら「タイ製」だったりしますし、アップルのようにソフトウェアだけを開発して後は中国で、、という選択肢もあるのかもしれません。ソニーやシャープと比較して、重電メーカー「日立」や「三菱電気」は、足早に家電に見切りを付け、インフラ系といった儲かる業種に特化して利益を出し始めているそうです。

弱みを並レベルにするのではなく、強みをMAXまで持って行く事は大切でしょう。ただ、無意味なリストラは海外企業に技術が移転するだけで、必ずしも家電メーカーのメリット、逆にデメリットになる事も指摘されています。
本当に大事なのは「過去」ではなく、「未来」です。歴史的な業績悪化という「完全敗北」を宣告された日の丸家電メーカーの命運。再び世界を席巻するのか、それともこのまま沈むのか。舵取りを任された経営陣に残された時間は決して多くありません。

残された時間は多くない、今、生きる事を選択するのか。衰退産業として終焉を迎えるのか。日本人としては、再び日の丸家電メーカーが復活する事を願ってなりません。