最近、ちょくちょく読んでいる高橋洋一さんの本。出版が2010年、民主党政権の時の事を前提に書かれているので、少し時代錯誤感はある。ただ、消費税や年金問題があるからこそ、取っ付きやすい新書で政治や経済のお勉強をするのもいいだろう。

少し前、八ッ場ダム問題がニュースを賑わせた。作るor作らないで党内や党外で話題になったが、高橋氏によれば、本当に必要であれば利益を担保にレベニューボンドという債券の一種を発行すればいいのではないか?といった指摘は興味深い。なるほどと思った部分として、かんぽの宿がある。オリックスに一括売却で問題になったが、ここで面白い指摘をしている。建設費に対して売却金額が安すぎるというのが世間一般の反応だったけど、正確には100億円のものを1000億円で作ったというのが正しい。だから、100億円は適切だ。という指摘だ、ほぉーなるほど。郵政民営化は不可避だったというのが高橋氏の指摘だ。

名目成長率が4%を越えれば財政再建は可能だ、と高橋氏は指摘する。自民党は10年でサラリーマンの手取りを100万円増やすといった事を提案しているそうですが、これでも将来的には上位20位にも入れないそうです。今の日本の経済が停滞している事の元凶は長引くデフレです。経済が成長していれば、実は消費税を上げる必要はなく、財政は健全に向かうという指摘もありますね。

高橋氏は簡単に言えば、リフレ派で「小さい政府」を望んでいるようにも思える。ただ、この本ではないですが、今のデフレの元凶は「小泉・竹中」両氏の減税などによる影響だという話もあります。

道州制に関して、近いところで近い場所で使えばいい。といった指摘がありますが、まぁその辺は納得でしょう。ただ、結局のところ財務省やその他の省庁の利権もあって、国や役人が権限を握っていた方が良いという一面もあるのでしょう。新書なので、とても読みやすい1冊です。