アベノミクスに対する期待は大きい。株価が回復し、円も円安方向に向かいつつある。安倍総理か行おうしている政策は、よく「3本の矢」という言葉て表現される。金融緩和、財政出動、成長戦略。日銀が国債を大量に買い入れる事で、ハイパーインフレが起こる?といった批判もある。本屋に行けば、本書の著者である三橋氏とは対照的に、反リフレの本も大量に出版されている。本書は、そんなアベノミクスに全目的に賛成する著者が綴る。中身も値段も薄いです。今まで三橋氏の本を読んでいれば基本的に同じですが、まだ1冊も読んだ事がないっ!という方にはおすすめです。



●国の借金200%のウソ。

まず、日本の借金です。最近ではGDPに対して借金が200%だと言われます。しかし、ナポレオン戦争の際にイギリスはGDPの200%を越える借金を抱えていましたが、国家破産はしませんでした。大事なのはプライマリーバランスではなく、国を成長させる事ですイギリスはその後の成長によって、借金をGDPで150%まで低下される事に成功しています。


●ハイパーインフレは起きない?

日銀が大量にお金をすると「日本もハイパーインフレになる!」と叫ぶ人もいますが、実際のハイパーインフレの定義は年率で1万4000%の上昇です。でも実際は、第2次世界大戦の荒廃した時代でさえ、インフレ率は500%ですので、今、大空襲で東京が壊滅的な被害を受ける、第3次世界大戦などが起こらない限りはハイパーインフレが起きる確率は低いようです。


●日本国債の多くを日本人が持っている。

ギリシャが破綻した理由は色々とありますが、よく言われているのが「国債を多くの外国人が買っていた」という事が言われます。しかし、日本の国債は殆どを日本人が保有しています。格付け会社が日本の格付けを下げた時に、財務省が「うちの国債は日本人が多く保有しているから心配ない、なのに何故格付けを下げるのだ?」といった意見書を出しています。つまり、世間的に言う国債暴落はウソという事になります。

●資産を持っているから借金は無くなる?

これは三橋氏のお気に入りのフレーズのようですが、実は日本の借金はそれほど問題ではない。もし少子化で将来的に人口が減って日本人が1人なったとする。その時にその人が他国に移住したい、と考えたとします。すると、今まであった借金と資産を相殺して、終わり。それでチャラだそうです。

●公務員が少ない?

これも驚きですが、日本人のイメージとして「公務員=悪」という事が言えると思いますが、実はこれはメディアが作り出したウソです。世界的に一番公務員が多いのはサウジアラビアですが、OECD加盟国と比較しても、日本の公務員の数は世界的に見て低い方です。今の倍くらいいて丁度いいそうです。

アベノミクスが成功するかは分かりませんが、今までメディアに登場してこなかった話が理路整然と書かれている事は興味深いです。ただ、この1冊だけを読んで終わりにするのではなく、反対意見や賛成意見といった様々な角度から本を読んで見ると良いと思います。