最近は、会社で働くだけではなく、「ノマド」、つまり自分の好きな場所をモンゴルの遊牧民のように働く方法が注目を集めて来た。著者である本田さん「レバレッジリーディング」で有名だが、本田さんは1年のうち6割をハワイ、4割を東京、2割をその他で過ごしている。最近はブロガーなどでも好きな場所で働く生き方が当たり前になってきた。本書は本田さんの経験を元に、ノマドで生きる方法が紹介されている。そこに書かれている事は楽観的な部分だけではない、本を売るためなら「ノマドってこんなに素晴らしいんですよー、皆さんもやってみませんか?」と語りかけるだろうが、ノマドの現実は思ったよりも厳しい。


●収入が減る事は覚悟する。

まず、ノマドが最初から仕事に恵まれているか?というと、答えは限りなくNoだったりする。本書では普通の仕事との併用で少しずつシフトしていく。当然、大手で会社勤めをし、係長や課長の方が安泰だ。会社の仕事が会社のブランドで舞い込んで来たのに対して、ノマドは己が全てなのだ。実力があって人望がある。それが大切なのだ。本田さんは、コンサルタント的な仕事をしているようだが、それも一長一短に出来上がったものではなだうろ。

●全ては自己責任。

会社勤めをしていれば、失敗しても挽回のチャンスはあるだろうし、労働法の関係で1回の失敗で解雇される事もないだろう。しかしノマドの場合は、1度の失敗が人生を狂わせる事がある。1つ1つに魂を込めるではないけど、小さな信用の積み重ねが確実に収入に結びついてくる。つまり、ノマドは自己責任の世界なのだ。会社ではあついが悪い、こいつが悪いだが、ノマド生活で起こった事の全ては自分が悪い!なのだ。

●必ずしもバラ色の人生ではない。

ノマドに憧れる人は多い。しかし、その一方で現実的にノマドは自由が手に入る一方で制限も大きい。自分の好きな場所で、時には好きな時間に働くという生き方は、その一方でリスクと表裏一体だ。収入が安定する保証もないし、仕事が続く保証もない。それが好きな場所で働く事の最大のリスクだったりする。お金が欲しくて安泰な生活をしたのなら、会社勤めがいい。たまの休みに旅行に行ければ、それで十分に幸せだと思う。パソコンを武器に戦う自分、それはそれでかっこいい。

本書の中でガラケーは御法度的な事が綴られているけど、自分への投資も怠ってはならない。

●ノマドの現実と理想。

というのが、本書のテーマなのだろう。決して楽観的に事ばかりではなく、理想と現実に触れられている。ノマドを全肯定する本もあるけど、その点、両方が書かれている本書は有用だ。ノマドに興味がふる人が読んで「こんな生き方をしたいなー」と思えばなればいいし、「俺には無理だー」と思えば、それでも十分に読んだ価値はある。

ノマドとは楽しくもあり、厳しいのだ、、。