Amazonのレビューなどを読めば宇野氏への批判的なコメントが多い事が分かる。実際、USENの宇野氏が批判される理由は素人には定かではないが、タイトルにもあるように宇野氏は「カリスマ」ではないのだろう。確かに、人材派遣会社「インテリジェンス」を創業し、一代で財を成したのは事実だ。サイバーエージェントの藤田社長が兄貴として見ているように、業界内には宇野氏を慕う経営者は多い。顔もイケメンだ。ただ、父親の「大阪有線」(現USEN)を継いだ後からが問題だ。


確かに、違法に張り巡らされていた電柱の使用許可を短期間に得た事は評価できる。時代に先駆けて光ファイバーを始めたもした。そして本書のテーマにもなっている「Gyao」(現Yahoo傘下)を開始した。しかし、タイミングが悪すぎた。YouTubeが開始されニコニコ動画が開始された。たぶん、その両者がなければGyaoは日本を代表するサービスになっただうう。

正直に言うと、本書を読む限り宇野氏は社長としては尊敬できない、という面もある。

人材業に必要なのは根気と努力だった。しかし、コンテンツビジネスに必要なのは根気と努力ではなく、1つのひらめきと情熱だ。そして、人を喜ばせる心だったりする。現時点で宇野氏は業績不振のUSENの社長を退き、会長職に就いている。株価も低迷を続け、一時の勢いはない。既に有線も時代遅れだろう。本書の魅力は成功哲学以上に失敗哲学を学べる事だ。やはり経営者として「世界を変える」といった気概が必要なのだろう。今からだこその本、今読むとコンテンツビジネスに対する意識も変わるだろう。今、就職活動中の学生が読んでも面白いと思った。

今、宇野氏が精力的に取り組んでいる動画配信サービス「U-NEXT」には期待したい。