大前氏の本は殆ど読破しているつもりだが、この本は未読だった。基本的に僕は大前氏の発言に対しては肯定的だが、その中でも本書はワースト3に入る。基本的に言っている事には頷ける部分もあるが、氏が手がけるBBT大学院がいかに素晴らしいかとい事が綴られている本だ。簡単に言えば、大前氏の発想の原点を探る本ではない。単行本ならまだしも、何故、文庫化されたのかは謎。


まず、冒頭で氏は大前流の発想術として、

「先入観を疑う」
「ネットワークから考える」
「他にはないものわを目指す」
「歴史から教訓を引き出す」
「敵の立場で読む」
「討論する」


という事が書かれている。
本書で興味深かった指摘はホリエモンに端を発するlivedoorのフジテレビ買収に関してだ。簡単に言えば、ホリエモンはメディアを買収する気はなくて、フジテレビからお金が欲しかっただけだ。というのが氏の考えだ。メディアを買収する事に関して成功したとしても、「放送とITの融合」は成り立たないという。例えば、仮に買収に成功してホリエモンが言うURLを常時テレビに流したとしても、やはり動画配信するにしても、多数の媒体からのコンテンツ提供が必要だろう。フジテレビの番組は充実するかもしれないが、テレ朝や日テレがフジテレビの親会社に心良くコンテンツを流すか?というと、疑問符が付く。複数のコンテンツ媒体があって、初めてポータルの意味が出る。

基本的に本書はBBTの宣伝なので、それほど読み応えはないが、やはり自分で考えて行動するという意味においては、本書は有用であろう。そのために様々な事例を元に、大前氏の考えがまとめられている。例えば、デルの成功例でったり、CNNの成功例だったりする。やはり色あせた感は否めないが、大前氏好きなら読んでおいて損はない。ただ、全面的に読んでみてっ!とは言えない事は確かなようです。