正直に言うと、10点分は著者というよりも天才イーロンマスク氏を題材にしたという点で付けてます。この本が面白いのは翻訳ではなく、日本人が書いた本だという事です。資産8000億円。スティーブ・ジョブズ亡き今、最も注目される経営者の1人です。日本人からすれば、誰だ?という印象を持つのは仕方ないとして、「テスラモーターズ」の電気自動車と言えば、少なからずの人が「あの会社の人かっ!」というイメージを持つかもしれない。


イーロンマスク氏が現在注力するのは、以下の2つの事業。

1.テスラモーターズの電気自動車。
2.スペースXの宇宙事業。


●自動車メーカーとして50年ぶりの上場。

例えば、テスラで言えば「GM」や「クライスラー」といった大手がいて。宇宙事業には「NASA」という政府公認の機関がある。そこに乗り込んで戦うという姿勢が凄いと思った。イーロンマスク氏はスタンフォードをたった2日で辞めているという異色の経歴を持つが、財を成したきっかけが「ペイパル」の成功だったりする。これも日本人には馴染みがないが、海外では送金サービスとして割とポヒュラーらしい。普通ならそこで終わっても不思議ではないが、イーロンマスク氏はその資金を使って、世界を変える一歩を踏み出す。そう、電気自動車の「テスラモーターズ」への出資だ。イーロン氏は若い頃から二酸化炭素の増加による環境破壊に注目していた。

ただ、普通の車を作るのではなく、電気でかつ通常の自動車よりも優れたものを作りたい。

●ガソリン車の代用ではない。

テスラのスポーツモデルはアクセスを踏み込んでから3秒で時速100キロに到達するそうだ。同じスポーツカーでもポルシェを越えるほどの機動性を持っている。内部も独特で、通常であれば特殊な電池が使われるのが普通だが、パソコンなどに使われる凡庸電池を数百個〜数千個組み合わせて使う方式を採用している。ガソリン車の代用ではなく、電気自動車をあえて選ぶそれがテスラが選ぶ未来だ。

●人類を火星に送る〜新しい宇宙時代の到来〜

そして、イーロン氏2つ目の事業が、宇宙事業への参入だ。
スペースXはまだ馴染みが無いが、既に国際宇宙センターへのドッキングに成功している。イーロン氏らが目指したのは、それまでの慈善事業ではなく採算ラインに載せるビジネスとしての宇宙事業だ。パーツを共通化し、ロケットを極限まで安価に、そして再利用できるように設計した。勿論、何度も失敗を繰り返している。その都度、進化して成長している。スペーツXが開発したファルコン9はNASAが開発したデルタロケットに比べると6分の1以下で製造可能だ。



●未来を変える経営者。

将来的には人類を火星に到達させる。それがイーロン氏が描く未来だ。
やはり商業経営者としては利益を出す事、そして株主に還元する事が大切だ。でも未来を変える時には、時には誰かの批判を越えなければならない。イーロンマスクは世界を変える。これは才能や能力以前に、彼がそう願って行動しているからだ。会社とは、時には未来を変える役割を担う。

次回はイーロンマスク氏本人が書いた本を読みたいでする。