リニア新幹線。この言葉を聞いて未来的なイメージを持たない人はいないです。JR東海が自社でリニアを建設するという話ほ聞いて多くの人が驚きました。その建設費は9兆円という途方も無い金額。本書は、そんなリニアの是非を国民に問いかける。簡単に要約すれば、「リニアは必要ない」というのが本書の趣旨なわけですが、未来的なイメージを持つ一方で不安を抱く人は多い。まず、日本の労働人口が減っていく中で、今後も需要を維持でるのか?という疑問を抱く。JR東海の試算によれば、東海道新幹線からの移転が62%を占めるという。新規需要はそれほど多くはない。JR東海によれば、リニアを建設する最大の理由が、東海新幹線の老朽化。著者は新しく新幹線の線路を建設「新幹線方式による中央整備新幹線計画」への変更の方が安上がりで経済的だと主張するものの、未来の無いリニアに莫大な投資をする事は経営的にも問題だと言います。

面白い話として、リニア運行の殆どを地下トンネルが占める。つまり、景観を楽しむ事ができないという事です。人によっては、富士山の景色が好きだ、という人も居ると思いますが、500キロで暗闇の中を走るというのは観光需要の面でマイナスです。本書では触れられてませんが、その場合、飛行機との戦い。特に、LCCなどが台頭する今の飛行機事業と戦えるのか?という疑問もある。そして、環境面での問題や電磁波の問題。フランスのTGVが通常運行で300キロを越え速度を出している事を考えると、今後の技術革新によっては、もっと高速の運行も可能になる。(これが著者が言う、通常の新幹線を作った方がいいという一つの根拠)。現在を100%とした場合、リニアの東京ー大阪間が開通する2050年付近の人口統計によれば、生産人口は約60%に低下するといいます。その上で採算が取れるのか?という問題。

「リニア中央新幹線は絶対にペイしない。」

というJR東海による衝撃的な発言、、。

リニアの時代は来ない。
海外に輸出する事もできない。

と、本書にはしっかりと書かれています。

結局は真珠湾的に一度動いたら止められない日本の悪いところ。撤退や失敗はむしろ歴史に残る決断なのではないか?と言います。データに裏付けされた根拠もありますし、リニアに興味が無くても面白いと思います。もし株式投資をしていれば、「JR東海の株は買うべきなのか?」と疑問符が付きますね。おすすめです。