東日本大震災、そしてそれに付随する原発に事故によって国民の電気に対する考え方は大きく変わった。政財界は原発を容認する一方で、反原発の動きも根強い。最近では、小泉元首相が細川首相を担ぎ上げ、反原発を旗印に都知事選に望んだ。電気の安定供給のために、原発を再稼働をしろという人がいる一方で、ドイツのように自然エネルギーを推進しろという声も大きいです。ではどっちが正解なのか?本書はそんな電力問題の基礎を綴ります。

●ドイツは自然エネルギーに失敗している?

多くの人が誤解している面として、ドイツは自然エネルギー先進国という一面。確かに比率で言えば、世界をリードする国である事は事実であるものの、その一方で弊害もあると著者は言います。ドイツは一見すると、自然エネルギーによってCO2を削減しているように思われますが、実は違う。FITつまり、電力の取引の場において、政府から支援されている自然エネルギーは圧倒的に安価で購入する事できる。その一方で、他の電力は割高になっている一面があるそうです。例えば、比較的クリーンなエネルギーと言われている天然ガスが価格面で太刀打ちできない。その影響を受けて、比較的に価格の優勢がある石炭の需要が高まっていく。めぐりめぐって、CO2が増加する傾向にあるそうです。

ドイツある人曰く、「太陽光発電はドイツ環境政策において、最も高価な誤りとなる」という事が言えるそうです。

●感想。

で、本書では電力の基本から電力が安定的に提供される事を様々な誤解を引用しながら紹介するという立場を取ります。例えば、電力は生ものという指摘はなるほどという思いがありました。ただ、著者が元東電の社員だった事を踏まえると、本書での著者の立場がイマイチ分かりませんでした。明確に、自然エネルギーを批判しているわけでもなく、明確に原発を推進しているわけではない。例えば、自然エネルギー政策を見直す、そして原発を再稼働させるべなのか?また、どのような方法で安全性を確保するのか?核のゴミはどこに処分するのか?といった事が書かれていません。

はっきり言ってこの本が言っている事は事実だと思います。
でも本にするのなら夢があってもいい。

例えば、石油を生み出す藻であったり、発電タービンの効率の進化であったり、明確に現在の状況を踏まえて電力の未来が語られてないような気もします。結局、何となく原発を維持した方がいいという、世間一般に言われているステレオタイプ的な事を思いました。まぁ電力問題の基礎を学ぶためには良い本だと思いますが、これだけ読んで知ったかぶりするのは危険です。ウソでもいいから未来が欲しかった。たぶん商業作家であればそうしたでしょうが、そうしなかった事は別の側面からは評価できます。