3.11における原発事故、日本では電力問題が注目の的ですが、それから遡ること8年前に出版された本です。内容としてはアメリカを中心としたエネルギー環境に関するものです。石油はあとどれくらいで枯渇するのか?という議論は尽きません。ある人2030年代に枯渇するという人もいれば、永遠に採掘できるという説もある。
●原油価格が上がる事で採掘可能期間が伸びる?
原油価格が上がる事で、それまで採算ラインに乗らなかった「海底油田」や「オイルサンド」といった場所から採掘が可能になって、もっと採掘可能な場所が増えるのではないか?という説もあります。ただ、現時点で大きな油田は殆ど見つかってない事は確かです。世界のオイル、つまり原油の大半をサウジアラビアやクェートといった中東に頼っている、それは日本も例外ではないのです。そこで戦争や紛争が起きれば、原油価格はぐっと引き上がる。●ブッシュと油。
本書で面白なーと思った点は、イラク戦争にアメリカが介入した理由を、ブッシュ元大統領は元石油業者でオイル業界から莫大な献金を受けていた、それが理由ではないかという説です。まぁその辺は華氏911やマイケルムーアにまかせるとして、ボクはこの項目を読んで「なるほどなっ!」と思いました。勿論、非人道的な事がゆるされるわけではありませんが、石油確保という視点で見た場合、この行動は一つの見方としては正しいわけです。でも、本書で問題としているのは、原油や石油を大量に使う事で石油業界が儲かるという構図です。アメリカでは日本と違って、SUVやピックアップトラックが人気だそうです。その燃費は1ガロンで6キロという逆の意味で驚異的なものです。その理由はアメリカのガソリンが安いから。本書によれば、日本車並の燃費を実現できれば、アメリカの石油消費量は半分近くに減ると言います。GMもフォードもガソリン代が幾らか?何てあまり関係ない、、。●原油と石炭と資本主義。
本書を簡単に要約すれば「お金」なわけです。最近でも中国のPM2.5などが話題になったわけですが、日本人からすれば「中国もっと頑張れよ」ですが、その背景には背に腹は変えられない理由がある。例えば、石炭を燃やす事で発生する有害物質はフィルターを取り付ける事で除去できますが、そのフィルタを付ける余裕が無い。そもそも、世界的にみれば石炭よりも天然ガスの方が環境にいいわけですが、石炭の方が圧倒的に安いわけです。環境を取るか経済をとるか、、。中国はひとまず経済を優先しているわけですね。結局、お金なわけですよ。中国だってお金が有り余っていればガスで発電するわけですし、アメリカが燃費の悪い車をだったり石油を沢山使う理由も金。●未来のエネルギーは?
ここでは一つの解決策として水素ほ挙げています。ただ、現時点でそれほど有望なエネルギーではない。で、ある意味で地産地消がエネルギーの理想。ただ、太陽光は太陽が出ている間しか発電しない。その発電効率は20%ほど。風車も風がある間にしか発電しない。でも、現時点でそのコストは大幅に下がっていて、将来的に有望だといいます。感想。
500ページ以上あるので読むのが大変ですが、エネルギーや石油の未来を知るためには良い本だと思います。最初見た時は「分厚っ!」と思いましたが、これは面白かったです。