トムクルーズ作品としては、あの超有名なスパイ物がありますが、そんなトムクールズがSFに真っ向から切り込んだ作品が本作の「オブリビオン」です。近未来の地球を舞台に、荒廃した地球とそれを取り巻く物語が展開される。本作は「トロンレガシー」から監督2作目となるジョセフ・コシンスキー氏を起用。モーガンフリーマンなど蒼々たるメンツが構成されている作品です。まず、簡単に感想を述べるなら「予想を裏切られた」という感じです。最初の予想とはまったく違いますね。
●あらすじ。
2077年、エイリアンの攻撃を受け荒廃した地球。生き残った人類は、惑星タイタンに移住していたが、ジャック(トム・クルーズ)は地球に残って、地球の運命を握る核エネルギー施設の管理をしていた。ある日、ジャックは墜落した宇宙船で眠る美女ジュリア(オルガ・キュレンコ)を発見する。目を覚ました彼女は、会った事のないジャックの名を口にする。そしてパトロール中に誰もいないはずの地球で謎の男ビーチ(モーガン・フリーマン)によって拘束される。
ジュリアは何者なのか?ジャックの記憶は?地球の運命とは、壮大な世界感と映像で送るSF大作。
●感想。
まず、冒頭で受けた印象として「あっウォーリーみたいな映画なんだな」という感じがしました。最初の予想としては、地球を脱出する時に物語が展開して宇宙で敵と戦うSFアクション的な物語なんだなという感じでした。でも本作は予想を良い意味で裏切ってくれました。ジャックの隠された謎、人類の運命を握る隠された秘密。実は、映像だけのやりとりを行うボス、実は「テッド」そのものがエイリアンだった。そして、実は彼女も、、。次々に明かされる地球滅亡の秘密。自分が戦っていた相手は実は地球人の生き残りだった。娯楽大作ではなく、本格的なSF作品に仕上がってます。まず、その映像美が凄いです。荒廃した地球、原爆の影響で荒廃した地球の映像。近未来的な乗り物から流れる滝まで凄いCGが駆使されている。ジャックをとりまくエンパイアステートビルの思い出。そして、眠る美女ジュリアが明かす謎の真実。そして、最後に明かされる宇宙船のブラックボックスの音声、、。最後は最後で「インディペンデンスデイ」的な終わり方をするんですね。まぁまんまですよ。でもあれは、主人公が帰って来て大統領が「独立記念日」を宣言する事でハッピーエンドなわけですが、本作がハッピーエンドかバッドエンドなのかは悩ましい。まず、そももその疑問として、惑星タイタンに地球人が移住しているのか?という疑問を抱く。内容としては、かなりシリアスでダークですよ。シュールといってもいい。部分的に帳尻や無理がある部分はあるものの、作品としてはぐっと引き込まれます。120分があっと言う間です。決して、見た後に「うわぁ〜面白かった」という作品ではないですが、おすすめです。
●【ネタバレ】ラストの意味についての考察。
本作には何人ものトムクールズが登場するわけです。ストーリー的には地球を滅ぼすために大量のトムクールズがやって来たという話になってます。で、本作の主人公がジャックは正確にはジャックではなく、「Tech49」のジャックです。ビーチから危険区域に行ってみな、と言われて見たもう一人のジャックは「Tech52」のジャックです。最後に爆発で死んでしまうジャックは「Tech49」ですが、最後の最後で娘と庭で作業をしている妻のジュリアの元に現れるのは、「Tech52」なわけです。一応ストーリー的には、「"彼"は"自分"だからこの場所を探し出せた」というナレーションが入って終わるわけですが、イマイチ納得できないわけです。えっなになに?という感じですが、ボクは一つの見方として、本作はSFホラーだと思ってます。実は、ビーチに代表される人間も「テッド」の手先だったのではないか?という説ですね。だから、誰も生きてないという、ある意味でホラー的な話であるという説も一つの考えとしてあるわけです。じゃなかったら別に娘とのシーンだけで、ジャックを死んだけれど、精一杯生きてます。という終わり方でもよかった。
だから、ある意味で本作はホラーなんですよ。
ジュリアと娘を除いて全ての登場人物がエイリアンだったと、、。
あくまで一つの見方ですが、そういう説も無きにしろあらず。