不朽の名著として知られる「ビジョナリーカンパニー」。ビジネスマンの中には座右の銘としている方も多いと思います。1と2では躍進する企業を取り上げ、3では衰退する企業を取り上げました。そして、4作目となる本作は新たに「10X企業」と題して、ここ20年で躍進した企業の例を紹介します。簡単に紹介すると、以下のような企業が当てはまります。
・アムジェン情報は執筆された2011年段階のものです。これは他の方も言われてましたが、ビジョナリーカンパニーはあくまで統計を分析しているのであって、未来永劫成長している企業とは限りません。インテルも一時期はITの寵児として知られましたが、アップルのiPhoneのチップ製造を断ったという話もあるように、普及するスマホ市場では劣勢に立たされている。マイクロソフトは一時期の帝国や独裁といった感じもなく、ビルゲイツなき後は迷走感が漂っている。個人的に本書で一番気になった企業は「サウスウエスト航空」です。LCCの先かげのような企業ですが、9.11や金融危機を含めて、ずっと黒字を維持している優良企業です。
・バイオメット
・インテル
・マイクロソフト
・プログレッシブ保険
・サウスウエスト航空
・ストライカー
●20マイル行進。
簡単に言えば持続的に成長を続ける企業は先を急がないという事です。例えば、旅をしていて今日は疲れたから10マイルにしよう。今日は調子がいいから30マイル進もうとするのではなく、絶えず一定の規模で成長している。本書では「サウスウエスト航空」の例が紹介されています。30年間絶えず黒字を維持している優良企業ですが、儲かっているから一気に成長するのではなく、絶えず一定のーペースで成長していく。日本で言えば「東京チカラめし」のようなものですが、いたずらに規模ほ拡大する事は危険です。●銃撃に続いて大砲発射。
ここで言う大砲とは以下のようなものになります。1.銃弾は低コスト。企業が大きくなれば銃弾も大きくなる。百万ドル企業の砲弾は、10億ドル企業の砲弾に値するかしれない。成功する企業というと、一見すると博打のような世界観で勝負しているように見えるけれど、実は小さな行動(銃弾)を沢山撃っている。その中で確信的な一撃が大きな砲弾というだけなのです。例えば、本書ではそれについて、アップルのiPodを例にこう綴っています。
2.銃弾は低リスク。低リスクだからといって成功の確率が高くなるわけではない。低リスクとは、銃弾が的外れの方向へ飛んだ時、被害を最小限にとどめることになる。
3.銃弾は低ディストラクション(気の散ること)。業界全体で低ディストラクションということ。一部の社員がイライラして気が散ってしまう、つまり高ディストラクションになってもいい。
iPodの物語は最重要ポイントを浮き彫りにしている。いまから振り返ってみると、iPodはいきなり創造的な飛躍を成し遂げたように見える。だが実際は、天才的なひらめきではなく実証的な有効性に基づき、段階的なプロセスを経て大成功を収めている。狂言的規律と実証的創造力が融合し、アップルは復活したのである。飛躍的なイノベーションで復活したわけではない。
●死線を避けるリーダーシップ。
例えば、本書ではエベレスト登山について触れている。大量のボンベや機材を持って山に登るか、荷物を少なくして登るのか。機材が多ければ一度のアタックに失敗したとしても、再度チャレンジする事ができる。企業経営に置き換えるなら、10X企業の多くが大きな失敗を避けて成長している。絶えず余裕を持って望むという言い方かもしれませんが、嵐を避けている。同じだけの危機が訪れるにも関わらず、10X企業は企業の死に関する危険には陥ってない。●具体的で一貫した一貫レシピ。
ビジネスモデルと言い換えてもいいですが、10X企業には具体的で明確なビジネスモデルが存在します。サウスとウエスト航空の例で見ると、、1.2時間以内の近距離路線に徹する。
2. 10〜12年にわたって主力機として中型機ボーイング737を使い続ける。
3.航空機稼働率を高く維持する。ゲートターンは迅速に、できるだけ10分以内にする。
4.乗客はわれわれにとってナンバーワンの商品。航空貨物や郵便物は運ばない。利益率が高く取り扱いコストが低い小包みは例外。
5.引き続き航空運賃を低くし、できるだけ多くの運行便を維持する。
6.機内食サービスは手がけない。
7.他社との乗り継ぎなし、発券・空港税・コンピューター関連コスト。われわれの空港は独特であり、他社との乗り継ぎに適さない。
8.テキサスがナンバーワン市場。需要が大きい近距離路線市場がある場合に限って州外にも就航する。
9.家族と人間を感じさせるサービスとともに、楽しさを感じさせる雰囲気を維持する。
10.できるだけシンプルにいく。