日本には今すごい図書館がある。それは、佐賀県武雄市にある通称「TSUTAYA図書館」です。本書は、そんなすごい図書館が生まれるまでの過程を市長自らが綴るといった内容です。人口数万人の市に100万人近い入館者が訪れるそうです。運営するのはビデオレンタルでお馴染みの「TSUTAYA」。それまで年間の休館日が100日以上もあり、さらに夜5時になると平日でも閉館していた。住民サービスという点でそれを不満に思った市長がそれを改革するまでの過程が綴られている。ただ、本書には賛否があって「ブログと内容が殆ど同じ」といった批判もある。ボクはブログは読んでないので新鮮な気持ちで読みましたけど、確かに、行政の官僚体質は改めるべきで、それを変えた事は評価できます。
ただ、一つ言うと、
図書館にTSUTAYAとスタバ入れただけじゃん!
という事でもあるわけです。
図書館の中にリアル書店とスタバがある事は画期的。閉館時間が5時までだったものが、会社帰りにも空いている。ちょっと休憩がてら図書館で本を借りて、そこのスタバでコーヒーを飲みながらの読書。それまで閉鎖的だった読み聞かせ室を解放的にしたり、勿論、うるさいという批判もあるけれど、それはイメージや行動としては大きい事です。結果的に市民は喜んでいるみたいですし、それはそれで正解なのかもしれない。ただ、政治という面で見ると図書館をTSUTAYAに移管しただけで「すごいすごい」というのは、逆の意味ですごいと思いました。細川元総理が知事時代にバス停を移動するために何度も陳情したという話は有名だけど、市長や知事って選挙で選ばれるのに、そんなに力が無いんだという驚きはありました。「市民感覚で行政を動かす」という視点で見れば、樋渡市長が行った事は画期的な事だと思います。一部の市民にとってはそれは批判的な感想を抱かせてしまう事は否めない。ただ、一方で民営化する事がイコール正解なのかという批判もあって、樋渡市長の例で言う「市民病院の民営化」だったりするわけです。
でも、図書館の例は割と成功だと思っていて、ボクも是非行きたいと思います。
民と官の垣根であったり、お金と公共という事も考えなけれはならないわけです。
社会実験という意味で武雄市の例は画期的だと思います。
でも読み物としては面白くないかな?