まぁAmazonの批判にもあるけど、携帯電話の基礎を作ったのが初代のドコモ社長である大星さんなのか、本書の著者なのか?とい議論は絶えない。ただ、iモードでありFOMAを作り上げた実績は評価できると思います。本書はそんな携帯の普及期(それこそ何百万とか何千万単位で純増していた時代)の事を克明に綴ってあります。本書の主題は、MAGICなんですよね。つまり、いつでもどこでも繋がる携帯電話。それは国内に限らず海外でも。それを追求し、携帯を成長させていった物語です。

●ドコモとSoftBankの違い。

ボクは現在使っているのはSoftBankのiPhone5(旧型ね)ですが、ドコモの評価は高いです。先頃、SoftBankの孫さんが営業利益でドコモさんを抜いたと鼻高だかに宣言してましたけど、孫さんの場合はマーケット的に評価されているけれど、携帯の将来という意味でいささか疑問を呈する部分もあるわけです。本書にも書かれてますけど、ドコモは携帯の研究開発に年間1000億円(出版当時)を使っている。先日のテレビ東京のWBSで「ドコモは4Gの次の5Gを研究している」という事が報道されましたけど、社会的に意義がありすよね。対して、SoftBankやauは年間で多くても200億円とか300億円しか使ってない。ドコモと違って、あちらは最新の機器が出れば、それを購入すれば良いという考え方なんです。だから、ボクはある程度のシェアをドコモが維持する事は携帯の未来にとって明るいと思ってます。

●AT&T投資で1兆円の損失。

これは本書を読んで「えっ?」と思った点です。殆どの人は知らないと思いますが、2000年代初期にドコモは2兆円近いお金を使って海外の携帯キャリアに投資していた時期があります。その最大の投資案件がアメリカ携帯最大手の「AT&T」でした。しかし、欧米における電話オークションによって、携帯の電波に数千億円の値段がついてしまったため、携帯の将来から株価が下落。結果的にドコモは1兆円近い損失を計上します。立川さんの主張では、携帯の世界基準をドコモと同様の物にするための投資だった、と綴っていますが、ボクはそれは言い訳なのかな?と思います。その点では米携帯3位スプリントを買収した孫さんの方がウマいです。

●感想。

たぶん、携帯の未来って暗いんですよね。端末もサービスも同じで後、差別化できるポイントは価格しかない。キャッシュバックがいかに多いかとか。やっぱり、iモードが出た時は衝撃的だったわけです。えーーっっ携帯でネット見られるの?といった衝撃。確かに、iPhoneの初代も出た時も衝撃でしたけど、iモードほどの驚きはなかった。今後の携帯キャリアに「新しいイノベーション」が起こせるのか?という点には少し疑問を感じる部分もあります。