電通と言えば、一般的な知名度はそれほど無いけど、就活生の間では入りたい企業の上位に位置いる広告界のガリバーです。その売り上げは単体では世界最大。2位の博報堂を大きく引き離す。汐留の本社を見れば、いかに儲かっているのかが分かる。そんな電通については業界内ではタブー視されている。そんな電通に切り込んだのが本書です。

本書を読むと、電通=悪という雰囲気を醸し出すけれど、ある意味で必要悪(言い方悪いけど、、)なんだと思います。例えば、電通を使えば、新聞報道を縮小したり、1面から3面や社会面に移動させる事できる。AKB48も韓流ブームも電通がメディアに仕掛けたと言われている。

でも、ボクが思うのは、消費者として「悪」だったとしても、企業にとっては「善」なわけです。

だって宣伝もしてくれて、悪い情報を事前に封じ込めてくれる。これぞ手数料を払う意義です。

●テレビ業界では「スポットCM」と「タイムCM」という2つのCMがある。

前者は番組と番組の間に流れるもの。後者は番組の中で「○○の提供でお送りします」といったもの。そのうち、テレビ局の収入を大きく左右するのが、スポットです。でもこのスポットの大半を電通が仕切っている事を殆どの人は知らない。

民放キー局で40%近くが電通の枠であって、テレビ局にとっては、売れない広告を売ってくれるお得意様であって、逆転現象でテレビ局よりも、電通の方が強い場合があるそうです。

●唯一の独占。

視聴率調査も実は電通の子会社が独占で行っている。ビデオリサーチという会社です。昔、日テレの社員が視聴率を買収しようとしてニュースになりましたけど、この独占を問題視する声もある。

ただ、テレビに関して言えば、高視聴率が取れる番組を制作すれば自然と広告は売れるわけで、ある意味で視聴率が低下傾向にあるからこそ、電通は力を強めているといった見方もできます。

●誰が潰すのか?

アメリカには一業種一社制というルールがあって、例えば、トヨタを扱えば日産は扱えないといったルールがあります。でも日本では電通や博報堂が殆ど独占で複数のクライアントを抱えている。

結局、タブーではあるけれど、全体を見ればお仲間主義で持ちつもたれずやっているのが本音でしょう。それは久米さんしかり、田原さんしかり。消費者は自然と洗脳それた情報を見ているわけだけれど、別にそれを不快とは思ってない。お酒でも飲みながら「恋いするフォーチュンクッキー」とか歌うわけですよ。別に変える必要があるのか?問われれば疑問ですし、じゃあ誰が変えるのか?という疑問ある。まぁ今のままでやればいいのでは?というボクの感想でもあります。