大山のぶ代さんのドラえもんから、水田わさびさんに声優が交代してからは、劇場版に関して賛否両論ありました。「のび太の恐竜」「のび太と鉄人兵団」とリメイクは割と好評なものの、オリジナルに関しては散々な結果。特に、「のび太と緑の巨人伝」に関しては世の中で無かった事にすらなっている始末。でも本作の「のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」はやってくれました。見事なオリジナル作品です。それも、「のび太の魔界大冒険」そして「のび太と鉄人兵団」の監督をした寺本幸代さんがやってくれましたよ。
でもね、、、。
●あらすじ。
ドラえもんの鈴が怪盗DXに盗まれてしまった。のび太がシャーロック・ホームズセットを使って推理すると、何とその鈴は22世紀の秘密道具博物館にある事が分かった。ドラミから譲り受けた招待状を使って、のび太としずかちゃんら5人は秘密道具博館に向かった。案内役のクルトと共に、博物館を見学する中、またしても怪盗DXからの予告状が届いた。●感想。
まず、監督の寺本さんはこんな事を言っているそうです。「今回はうってかわって楽しい映画を作りたい」
「お客さんが笑って映画館を出られるような、そんな映画にしたい」
と。確かに、本作はそんな映画です。主役はのび太でありながら、実はドラえもんが主役で改めてのび太との友情を描いた作品でもある。
寺本監督の前々作「のび太と鉄人兵団」が、かなりシリアスな内容だっただけに、これは家族で見ても安心できる作品である事は間違いないです。Amazonのレビューでは絶賛の声が多数見られますけど、逆の意味では、わさドラのオリジナルが酷かった過去がある。「のび太と緑の巨人伝」とかね。そいう意味でも、何作や何年を経て、F先生に対する呪縛は溶けかかっている部分はあります。
本作の主役はドラえもんと書いたけれど、実は本当の主人公は「ダメな奴」だったりするわけです。元々はハルトマン博士と研究を続けていたペプラー博士は、研究中に機械にお茶をこぼして、台無しにしてしまう。そして、ひみつ道具博物館で働くクルトも、何度挑戦しても失敗を繰り返す、ダメなひみつ道具発明家だったりするわけです。登場、のっけからデキナイ君。でもそれでも良い所があるわけで、それを短所ではなく長所として伸ばしていく。そういうメッセージ性もある意味ではある。
ドラえもんが鈴にこだわった理由も、ダメなのび太にも良い所があった。そんな象徴として描かれてます。
F先生の手元を離れて、作品の中に貫くメッセージがありました。ただ、作品の殆どがひみつ道具博物館内でのシーン。そして、「フルメタル」と「ペプラーメタル」の説明不足。ロボットとの中途半端な戦闘。食べ過ぎで故障するカットを入れたのに、最後に活躍するポポンの謎。ストーリー的に納得できない箇所はありました。楽しい作品である事は事実です。新しいドラえもんはこういう方向で進むのかな?という象徴的な作品かもしれません。でも、やっぱりドラえもん劇場版は生死を彷徨ってこそだと思っている懐古派なので、少し点数は低めです。