3.11における原発事故。今現在、日本の全ての原発は停止中で大半のエネルギーを化石燃料に依存している。勿論、化石燃料にかかる必要は膨大である事は事実。それが日本の貿易赤字を拡大している元凶であるとニュースでは報道されます。太陽光発電や風力発電がもてはやされますが、太陽光に関しては日照時間と出力の関係で基盤エネルギーとして利用する事は難しい。それは色々な所で言う、山の手線の内側全てに太陽光パネルを設置する必要があるという話とも関係してきます。

●宇宙で発電?

そこで俄に注目を集めるのが「宇宙太陽光発電」。つまり、宇宙で発電してその電気を地上に送るというシステムです。回転する地球と違って、宇宙太陽光発電ではほぼ全ての時間において発電できる。読者の方は「そんなデタラメな事が起きるわけないっ!」と思ってますが、本書の著者は京都大学の総長を勤める方。それだけでクラクラですが、以外にも非現実的ではない事が本書も面白い所です。

本書の構成としては、前半で地球全体が抱える問題について。後半で実際の太陽光発電について記述されています。構成というウマいのが、ただ単に「宇宙太陽光発電をすればいい」と書かれているのではなく、前半で地球が抱える問題について触れている点。例えば、地球の人口100億人限界説や、ウラン70年枯渇説。そして、石油の枯渇。その上で宇宙太陽光発電の是非を問うわけです。

●宇宙太陽光発電とは?

では、どうすれば宇宙太陽光発電は可能となるのか?
本書によれば、、。
宇宙空間で超大型の太陽光パネルを広げ、太陽光発電によって得られる直流電力をマイクロ波に変換して、送電アンテナから地球や宇宙都市の重電所に設置される受電アンテナへ伝送し、再び直流電力に戻す方式の発電所です。

●宇宙太陽光発電のコストとは?

そのコストはどうなのか、、。
JAXA版SPSでは、建設費用の総額は、SPS本体が8500億円、地上のレクテナ建設費が1600億円、ロケット輸送費2800億円、その他100億円として合計で1兆3000億円となっています。目標発電単価は、SPSの設計寿命が40年として、8円程度/kWh。
電子レンジを宇宙から照射するんだろ?という疑問もありますが、電子レンジよりも低い電波なので人体に害は無いそうです。まぁこういう本はロマンですよ。ケネディ大統領の宣言によってたった9年で人類が月に到達したように、本気でやれば実現できる。こういう未来を提示する事が面白いわけです。宇宙エレベーターそうですが、こういう未来を見る事がすなわち、希望のある未来なのだと思います。