ノマドの現実と理想を綴っているという点で良書である。よくある「ノマドはこんなに自由で素晴らしい仕事ですよ」という論調ではなく、ノマドの現実を如実に表している。ノマドで一躍脚光を浴びた安藤美冬さんの本を読むと人生の理想型としてノマドがある。ノマドこそ最高の働き方という印象を受けますが、本書はそれを一方では賛成し、一方で批判する。YouTubeやプロブロガーがある意味で動画やブログといった媒体を保持しているのに対して、コンサルやプロデュース業は本当に明日仕事が無くなっても不思議ではない。一見自由な働き方のように見えて、その1本の仕事の出来が未来を左右するわけです。ボクは時論として、ノマドは仕事場がスタバに変わっただけという表現をしています。本書に載っているある調査によれば、大半のサラリーマンは終身雇用で同じ会社で生きて行きたい。

という結果が出ているそうです。会社に所属していれば、確実な月給とボーナスが保証されている。逆に、ノマドの場合は、今月が50万円稼げたけど、次の月は10万円しか稼げなかったという事が当然のように起こるわけです。当然、銀行でマイホームのローンは組めないと思います。アメックスとかダイナースのカードは作れないでしょう。良くて、楽天カードですね。

本書の帯にこんな事が書かれている「不安でも孤独でも、強く生き抜くためのヒント」という言葉。まさに、ノマドとはそういう事です。慰めてくれる同僚も安定もない世界。それに絶え抜いた者だけが成功できる世界。それは会社生活の厳しさとは似て非なるものです。

そういう意味で本書は有用です。これぞノマドですよ。スタバでドヤ顔になりながら本書を読むと気分も変わるかもね。