まぁ賛否が分かれる作品ですね。ボクはあんまり好きな作品ではありません。最近のコナン、特に本作からのコナン劇場版は、いかに綿密なストーリーを作るか、という点ではなくいかに派手な演出をするのか?という点に重点が置かれているような気がします。確かに、「時計事件の摩天楼」の最後のビル爆破。そして、「14番目の標的」における娯楽施設の爆破のシーン。本作も爆破という点では共通しているけれど、犯人の動機と比較して、整合性が無いというのが本音です。せっかく密室という空間を用意したのに、、。タイトルの陰謀が何を意味するのか?という点では疑問が残ります。

●あらすじ。

毛利のおっちゃん、蘭とコナン、そして博士や少年探偵団の面々は園子の招待で豪華客船「アフロディーテ号」の処女航海に参加していた。気晴らしのために、蘭たちは船内でかくれんぼをする事になった。鬼は園子と灰原。しかし園子はかくれんぼ中に何者かに拉致され行方不明になってしまう。時を同じくして、「アフロディーテ号」を設計した会社である八代造船の社長である八代貴江氏が何者かに刺殺されてしまう。そして、会長である八代延太郎氏も行方不明。警視庁の面々が搭乗し、操作が始まるが、船の上の密室。乗員乗客600名が容疑者となった。

●感想。

まず本作は劇場版では基本的に冴えない毛利のおっちゃんが大活躍します。珍しく推理もキレッきれ。ただ、ストーリーがやや強引なんですよね。冒頭で「あれ、こいつが犯人なの?」というシーンかあるわけですが、実は、、という展開。ただ、正直に言うと本作の舞台である豪華客船。これはタイタニックを思いっきり意識しているそうですが、別に客船である必要はなかった。600人の密室という設定も上手く活かされてない。犯人の動機はある程度は理解できるけれども、あえて船の上、しかも600人を犠牲にした行動が理解できない。映画的な強引な展開。冒頭で設計士の八代英人が殺されているわけだけど、同じ手口を利用すれば、別に地上でも良かった。さらに言えば、蘭が最後の最後でピンチになった理由も、かなり強引です。確かに、蘭の純粋さを考えれば、あの行動も理解できるけど、あのためにあれ、という展開はあまり理解できない。最後にそのアイテムが物語のクライマックスを決めるわけだけれど、、。

最近の映像は凄いけど、ストーリーはイマイチという作品ですね。
謎解きという要素は非常に残念です。新一とのやりとりを、正直に言えば臭いですよね。
最後に結びつかせるための伏線だと思いますが、かなり強引です。

ただ、本作は良かった点は、ある意味で教訓めいた台詞(名言)ですよね。
それは率直に良かったと思います。

簡単に引用します。(※以下ネタバレ)

光彦:どうして人は人を傷つけたりするんでしょう?

灰原:人には感情があるもの、変わりやすいやっかいな代物がね。それは友情や愛情ならいいけど、何かのきっかけで、嫉妬や恨みに変われば、殺意が芽生える事だってあるんだから。

元太:でもよ、俺っちの父ちゃんや母ちゃんなんかしょっちゃうケンカしているけど仲いいぜ。

博士:それは、お互いに思いやる気持ちをもっているからじゃよ。哀君の言うように、人はふとした事で傷つける側にも、傷つけられる側にもなる。そうならないためには相手の事を思いやる気持ちが必要なんじゃ。