珍しく劇場に足を運んでみて来ました。11時の回でお客さんは6〜7人くらい入ってました。まぁ公開から結構経ってますしね。何故、珍しく劇場場に足を運んだかというと、話題の「ドラ泣き」と「興行収入50億円」を確かめるため。ただ、はっきり言って「泣けませんでした」。もっと言えば、怒りすらこみ上げて来ました。キャッチコピーの「いっしょに、ドラ泣きしません?」という、いかにも広告代理店が付けそうなコピーもゆるせないですが、オリジナル作品ではなく、原作の良い部分を抜き出して強引に泣けるようにしている点。できれば監督を批判したくないですが、山崎貴監督はセンスないです。

まず「未来の国からはるばると」の改悪が酷いです。原作では普通にセワシがドラえもんを送り込んだ事になっている。(※ちなみに、2112年ドラえもん誕生では、セワシのために自ら過去に行った設定になっている)でも本作では特別なプログラムを組んで、ドラえもんが「未来に帰る」という発言をすると、ピカチュウ的10万ボルトが流れる仕掛けになっているわけです。はっきり言って、奴隷ですよ。これは酷いです。

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●あらすじ。

ドラえもんの泣ける話をベースに再編集した作品。原作から「未来の国からはるばると」「雪山のラブロマンス」「のび太の結婚前夜」「帰って来たドラえもん」などを抽出し、強引に泣けるように再構成。

●感想。

大のドラえもん好きのボクからすれば、原作はすり切れるほど読んでますし、台詞の一つ一つまで分かります。例えば、のび太の結婚前夜の「あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。」という台詞だったり、帰ってきたドラえもんの「君に勝たないとドラえもんが安心して未来に帰れないんだ」とか。で、本作の何が問題かというと、メッセージ性がまったく無い。ただ、泣ける話を抽出して「さぁ〜泣け」「ここは泣く所だよ」という強烈な洗脳に近い展開。ドラえもんに対するリスペクトがまったく無いわけです。ゲスいですよね。これで50億円稼いで内部で「50億円稼いだおめでとう!」とか言っているわけでしょ。亡きF先生の墓前でもいいから謝れと言いたい。

返せ、俺の子供の頃からのドラえもんの思い出を返せっ!ですよ、、。

で、原作をモチーフにしていますが、一部オリジナル要素を含んだ部分もありますが、これが裏目に出ている部分もあります。

例えば、雪山のラブロマンスで雪山にいるしずかちゃんを助けた青年のび太に対して、子供のび太が「ドラえもんいるから会ってくれば?」というわけですが、青年のび太は「ドラえもんは子供時代の友達だから会わない」と割と意味深な言葉。(たぶん、ドラえもんから離れて大人になったという伏線でしょう。しずかちゃんも似たような発言をしています。)でも、その後の帰ってきたドラえもんパートでは、ウソ800を飲んだのび太が「ドラえもんとずっと一緒だよ」的な言葉を発するわけです。えっ?という展開ですよね、、。

(※雪山のラブロマンスに関しては、かなり改編されています。)

本当に酷い、ドラえもん好きは絶対に見ない方がいいです。
旧作でしかも半額クーポンが発行された時に借りる時をおすすめします。

●ドラ泣きした人に苦言。

まず製作した山崎監督と製作元に対する批判も作文用紙20枚くらい提出したいですが、これで「ドラ泣き」したという人も、どうかと思います。確かに、何の思い入れも無ければ泣けるというのもウソじゃないですが、本当にドラえもんリテラシーの低さを痛感します。普通にドラえもんを見ていれば、当然のように泣けません。たぶん、暇だからドラえもん見てみる?くらいの感覚で行ったのでしょうが、日本大丈夫か?というレベルです。だって、本家の劇場版が毎年試行錯誤してオリジナルを生み出して、興行収入30億円で大ヒットなのに、原作の良い所取りの本作が興行収入50億円ですよ。製作陣やる気無くすでしょ。池上彰が売れるという世の中と共通しているのか?

見たの「のび太の小宇宙戦争」
見たの「のび太の鉄人兵団」
見たの「のび太と雲の王国」

今って、これだけストレートど真ん中に伝えないと泣けないの?

リテラシーを疑います。

本当に残念でなりません。