これは凄い本です。Googleに関する本はそれこそ数えきれないほど存在してますが、これほどGoogleの本質を的確に指摘した本は稀です。しかも文庫で700円程度で買える。これを買わない人は本当に損をしてます。Googleってこういう会社だったのかっっ!と目から鱗がいっぱいです。
●具体性のあるミッションを語る。
Googleが営利企業である事は間違いありませんが、Googleは儲けを第一に考えているわけではありません。例えば、日本の某IT企業のようにブログから始まり結婚情報まで参入は少しでも利益に貢献すれば評価される。それは別に悪くありませんが、それは別に小銭稼ぎであってミッションでありません。Googleのミッションはとても簡単です。つまりは、
Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。
という一行だけです。
●Googleの検索を増やす事が最大の目的。
その上で、Googleが何故にGoogleマップやGmailを無料で提供するのか?コスト的に考えれば、検索に徹して利益1円でも増やす事を考えればいいはずです。でもGoogleはYouTubeも検索も全て無料で提供する。ちなみにですが、Googleの利益の90%は検索に連動する広告であるアドワーズから成り立っています。つまり、検索回数を増やす事がGoogleの最大の使命なわけです。単純に言えば、Googleの検索回数が2倍に増えれば利益も2倍になるわけです。
Androidを無料で提供する理由も、そこにディフォルトでGoogleの検索を組み込む事でさらに広告価値を高める目的があります。
●Googleが自動運転を開発する理由。
これは1つ目の目から鱗でした。最近、ニュース等でGoogleは自動運転者の開発を進めているという話を聞きます。でもGoogleは別に自動運転者を開発して自動車メーカーになりたいわけではありません。本書によれば、その目的も広告と関連します。Googleはおそらく自動運転者を開発しても、それで儲けるつもりは毛頭無いと言います。出したとしても格安で提供する。つまりは、自動車に乗る時間。運転する時間。それを減らす事で、よりGoogleに接する時間を増やしてもらおうという狙いです。
●Googleの検索広告が出ない理由。
これが2つ目の目から鱗です。Googleで検索すると、上部と右側に広告が表示される事は皆さんもご存知だと思いますが、実は広告が出ない時もあります。ボクはあれ不具合?と思ってましたが、これにはGoogleの強かな理由があった。つまりは、絶えず広告を出せば瞬間的に広告収益は増えるかもしれないけれど、広告を出しすぎるとしだいに広告をクリックしなくなってしまう。それを計算して、Googleはある一定毎にしか広告を表示しないのです。
●Googleの凄いサーバーシステム。
これが3つ目の目から鱗です。Googleが検索用に大量のサーバーを用意している事を知っている方は多いと思いますが、実はそこにも凄い仕組みがあった。高性能なサーバーではなく、市販のパソコンを改良した物を使っている。そして、Googleを悩ます電気代を減らすために、サーバーは世界に分散している。その内の一つがヨーロッパの某場所にあるそうです。その理由は年間を通じて気温が20数度と低く、空冷と水冷のみでサーバーを稼働させる事ができる。でも年間で数日間だけは気温が高温になる時がある。普通だったら冷房を稼働させると思うでしょうが、なんとGoogleはその数日間だけサーバー施設ごと停止させてしまいます。サーバーは繋がっていて、世界各国で分散されているわけです。将来的には世界中に分散し、その地域が夜の時だけ稼働させる計画も着々と進めているそうです。
●Googleの明確なミッション。
全ては冒頭の全ての情報を検索できるように、、に繋がるわけですが、つまり究極的に言えば、世界が検索できればできるほどGoogleは儲かるという事です。ある意味でGoogleという会社は硬派検索エンジンを貫いているわけです。日本の企業が1円でも利益を出すために試行錯誤する中で、Googleは淡々と自分たちの利益を最適化する方法を進行させていくわけです。検索の最適化、ある意味でそれを追求しているのはGoogle自身なのかもしれません。