1982年に公開された「のび太の大魔境」をリメイクした作品です。基本的に水田わさびドラ以降の劇場版はムラが非常にあります。面白い時もあれば、あっこれは無いなという(緑の巨人伝の黒歴史)時と色々です。本作は正直に言えば、基本に忠実と言えば忠実ですが、正直に言えば「うーん」といった感想です。別にもの凄く良いってわけでもなく、もの凄く悪いわけでもないです。良い意味でも悪い意味でも商業作品ですね。

●あらすじ。

のび太はママからの買い物帰りある犬と出会う。かわいそうだと思ったのび太はソーセージをあげるのだが、ひょんな事から懐かれてしまう。時を同じくしてドラえもんとのび太は小型衛星を打ち上げて、地球に残る未開拓の地である秘境を探していた。ひょんな事からのび家で飼われる事になったペコ。そしてペコが偶然発見した1枚の航空写真にスモーカーズフォレスト。つまり、通常の衛星では撮影できない秘境を発見する。冒険に憧れていたジャイアンを筆頭に、のび太たちはペコと共に秘境に行く事になった。そして到達した場所は犬の王国だった。「バウワンコ王国」で迫害された王子。それがペコだったのだ、、。ペコとのび太たちはバウワンコ王国を取り戻すべき戦いに巻き込まれる事になるのだが、、。

●感想。

まずね、これは言っちゃいけないと思うんですが、リメイクも含めて「のび太の大魔境」にそれほど良い思いは無い。鉄人兵団とか雲の王国は台詞が言えるほど記憶に残っているけれど、あっあったな大魔境って、、。という感じです。本作の良い点はリメイクに対して、忠実である事。新・のび太の鉄人兵団で言うピッポ的なものはなく、ほぼ原作に忠実にリメイクしている。ただ、それが逆の意味で悪い方向に動いている気もするわけです。まず話自体がシンプルなんですよね。魔境に行って、王国を救う。それだけです。それに加えて、本作は1982年だからこそ許された作品だとも思います。当時としては、ドラえもんの打ち上げる衛星に凄さがあった。でも今はiPhoneですらGoogleマップを使えば、世界中どこでも衛星写真を見る事できる。秘境というものは既に存在しないものになっているわけです。少しネタバレですが、本作は巨人像というのが終盤で大きく関係してくるわけですが、トランスフォーマーとかを見ている現代人にとって、それほど迫力もない。それほどの見せ場もないです。感動的な見せ場もね、、。

逆の意味で本作ほど新要素を入れるべきだったのではないか?と思います。時代背景であったり、技術にアップデートする必要があった。これは本編的な話ですが、途中でのび太たちがある事情で敵と戦う場面で、変な音楽が流れるわけです。ある意味でエヴァ新劇場版の5号機が暴走するシーンで「この私に〜とり〜のような〜つばさが欲しい〜」的な。これが割と意味不明です。本作は割と硬派な作品でもありますが、裏側は金の臭いがププンです。まず主題歌のジャニーズ起用。そして、小栗旬の起用、そしてヒロインに色々とゴタゴタのあった夏目三久の起用。結局、興収を増やすための戦略が間違いなく、本編に悪い効果を与えてしまっている。

これだったら原作見れば良くない?というのがボクの感想です。
次回作はオリジナルで宇宙物のようです。