これは凄いディベート本です。まず何と言っても、参加者が世界的な権威揃いという点です。日本の御用学者が金儲けのために出した本とは大違いです。「ポール・クルーグマン」(ノーベル経済学賞受賞)「ジョージ・パパンドレウ」(「世界の頭脳トップ100」に選出)「ニュート・ギングリッチ」(1995年にタイム誌の「今年の人」に選出)「アーサー・ラッファー」(「サプライサイド経済学の父」)この時点で買わないて手はないでしょう。もうね、朝まで生テレビとは桁違いです。で、本書は簡単に要約すれば、「増税する方が正解なのか?」「減税をする方が正解なのか?」を問うわけです。例えば、ポール・グルーグマン氏は減税は悪で増税する事でお金持ちからお金を取れば、経済は良くなるという主張なわけです。以下、簡単に各論陣の意見をまとめてみます。
・クルーグマンとパパンドレウは金持ち増税に賛成の意見を述べています。
スーパーリッチの税負担をちょっと増やしても経済に悪影響はない。
平等な社会のほうがいろいろな面で望ましい、
・キングリッチとラッファーは、金持ち増税に反対の意見を述べています。
がんばって成功した人からむしりとってそうでない人に渡すような社会でいいのか。
増税しても、金持ちは賢い弁護士をやとって抜け道を探し出す。
増税の前に、政府を改革して効率化するべきだ、
例えば、著名投資家のウォーレンバフェット氏の話が出てます。バフェット氏自身は増税に賛成の意見を表明している事は有名ですが、彼がニューヨークタイムズにあてた手紙によれば、「自分が払った税金は700万ドルの税金を払っている。これは所得の17%であって、うちの会社の誰よりも安い」と言っています。しかし、バフェット氏は同年に株式のキャピタルゲインで100億ドルの含み益を出している。これを納税額で計算すれば、税率は0.06%という事になるわけです。増税派に対する反対意見として、増税すれば、金持ちは資産を移動させてしまうという意見があるわけです。
その上で、税率をみんな10%に設定する。そうすれば、金持ちの負担も無くなるし、公平な税システムが構築できる。これが減税派の主張のなわけです。逆に増税派の意見としては、税率を上げる事で景気は停滞する事はない。むしろ、クリントン政権の時のように、増税しても景気や雇用を維持する事は可能だ。という主張があります。
結果的に本書で「○○が正解だ」という解はないです。両方の意見が公平に載せてあって、さて皆さんはどう思いますか?という感じです。本書の凄い点はこれだけ著名人が集まっていながら、小学生でも読めるほど話が簡単という事です。難しい専門用語はいっさい無しで、それでもって深い考察を与えてくれる。これは凄い事です。めっちゃ面白いですよね、これ。