まず言っておくと、銀の匙の原作コミックは全巻持ってます。フジテレビでやったアニメ版の「銀の匙」も全部BDにダビングしてあるほど好きです。で、この銀の匙の実写版ですが、Yahoo映画などを見ると、ざざっと5点満点の評価が並んでいるわけです。確かに、たまこのハマり役も含めてキャストに違和感はないです。ただ、言うほど名作か?特に、泣きましたという表現はいささか大げさな気がする。正直、これで泣いたとか、名作だと言う人は制作側のステマか、もしくは原作を読んだ事が無い人です。

●あらすじ。

主人公の八軒勇吾は札幌の進学校から、全寮制の大蝦夷農業高等学校に進学した。将来の夢も無い、親から逃げるように進学した学校で仲間と触れ合いながら、農業の面白さに惹かれ自分の将来を決めていこうと奮闘する。

●感想。

まず、原作が連載中の段階で映画化した事に無理があります。完全に中途半端な展開で終わってます。そして本作の一番の問題点は、原作の都合のいい部分を抽出して商業的な色を加えた事です。エゾノーの校長役にダチョウ倶楽部の上島さん。そして、アキのおじさんに哀川翔さん。このキャストのどこが名作なのか、、。原作はある意味でギャグ漫画なわけですよ、青春ギャグ漫画。でも本作には殆どギャグはないです。一応ストーリーとしては、入学して駒場の家が倒産するまでを描く。何より納得できなかった点は、駒場の扱いですよね。実写版ではさらっと「実家が倒産して学校を自主退学した」という事になってますが、原作では駒場は野球部であと一歩で甲子園という所で挫折しているわけです。原作だとその後に展開があって、野球への思いも復活するわけですけどね。

そこが切ないわけです。夢を諦める男がいる一方で、夢の無い男(八軒)がいるわけです。

結局、本作は農業という題材を扱ってますが、そこから何かを伝えようという思いは殆どありません。ブタの「ブタ丼」に関しても、そこでベーコンを振る舞った事、その笑顔を見て八軒の人生が好転していくわけですよ。で、本作のラストが超問題です。これは原作には無いですが、最後に駒場とアキ、そして八軒の3人が集まって、アキが名付け親になった馬がばんえい競馬に出場する事になる。そこで馬の名前がアップなり「銀の匙」という馬の名前のワンカットで終わる。なんだよコレっ!ですよ。これの何が泣けるの?銀の匙って本当の農業を読者に伝えよう、夢を与える漫画でしょう。八軒の父親に関しても、原作では送ったベーコンに対して「俺は食べてない」みたいな事を言っているわけですけど、エゾノー祭にやってきて、何か納得した表情になっている。何コレ??こんな作品だった。

最後に「ゆず」のED曲が流れて、、。

広告代理店、ショウギョウエイガ!!!と叫んだボクってどうなの、、。
とりあえず、原作を読む事から始めてみよう。めっちゃ面白いですから。