テレビ朝日の深夜帯に放送されている「アメトーーク」。雨上がり決死隊を司会に、芸人たちが「家電芸人」や「中学の時にイケてないグループに属していた芸人」など、くくりトークを展開する。そんな番組で総合演出とプロデューサーを兼務するのが、本書の著者である「加持倫三さん」だ。他にも、「ロンドンハーツ」のプロデューサーもしている。本書は、そんな加持さんが番組制作で学んだ、企画をヒット企画を生み出す極意、そして個人として社会人として生きて行くための極意が綴られている。





●1.ルーティンで思考をやめない。



アメトーーク等でもそうですが、テロップを入れる場面あります。例えば、本書の中では「運動神経悪い芸人」の回で「俺の足の右足がぐにゃとなっちゃったんです」といった場面で爆笑を取ったとする。その時に、ただ「俺の右足がぐにゃっとなっちゃったんです」とテロップを入れた場合、2行になってしまう。そんな時に「俺の右足がぐにゃ」といったテロップに修正する。ただ、発言したコメントを乗せるのではなく、ルーティンになって思考を停止するのではなく、柔軟な姿勢が必要です。



●2.会議は煮詰まったらすぐやめる。



アメトーークでは会議の時間を極端に短く設定しているそうです。イメージからすると、タバコを吸って灰皿がタバコでいっぱい。夜中から明け方まで会議が続くといったものを想像しますが、アメトーークの会議はたった1時間程度で終了するそうです。長く時間をかけたからといって、必ずしも良い結果が出るとは限りません。会議自体が目的になってしまうのは問題です。アメトーークの会議では必ず甘いものと一緒に会議をする事が恒例だそうです。



●3.余裕があるうちに次の準備を。



今でこそスタジオ企画の多くなった「ロンドンハーツ」ですが、初期の頃は素人ドッキリが多い、ロケ番組でした。例えば、三角関係を演出する「トライアングル」。メールで下心を探る「ブラックメール」。しかし、その企画が同時期に視聴者に飽きられるといった事態が発生したそうです。様々な企画を試しては失敗、番組は打ち切り寸前まで行ったそうです。そんなロンハーを救ったのが「格付けしあう女たち」なわけですが、ヒットにあぐらをかくのではなく、成功している間に次の準備をする。これが大切です。



●4.ピンチになったら原点に変える。



結局、全てにおいて満点を取る事は難しい。3勝2敗でも勝ち越せばいい。何か悩んだ時には、初期の頃の思いに立ち返ってみる事も大切です。



●5.短く書いて「減点」を減らす。



企画書は分厚いもの。これは思い込みです。加持さんは企画を持ち込む際には、A4用紙で最低でも数枚までに抑えた方がいいといいます。企画は単刀直入に。確かに、沢山の内容が書かれた企画書は魅力的ですが、沢山あればこそ「これは良いけど、あれはダメだな」といった減点を招いてしまう。加持さんは企画書は薄くする一方で、社内メールで上司に企画の魅力を伝える熱いメールを送っているそうです。



●6.1つ頼まれたら2つやれ。



これも大切です。例えば上司にコーラを頼まれて、一緒に「ポテトチップスも買って来ました」と言う気遣い。1つの頼まれたら、2つのやる事で印象は良くなりますし、上司から「おおっこいつはやるな!」と思わせる。一番マズいのは、コーラが売ってなかったら買って来ませんでした。というものです。上司は喉が乾いたのであって、代わりの物を購入してくるセンスも必要です。



●7.誰にでも分け隔てしない。



結局、仕事は人と人で行われるものだと思います。本書ではめちゃイケなどでもお馴染みの「辻カメラマン」の例が紹介されていますが、プロであっても鍛錬を続ける事の大切さ。そして、分け隔てなく人と付き合う事が大切です。すべり芸人であっても素人と比較すれば、雲泥の差。そこにリスペクトがあるかどうかが大切です。



最後に、加持さんは



「この仕事はめっっっっっっちゃ面白いよ。ずーーーーーーっと笑っていられるもん。たしかに最初の数年はキツいことも多いけど、それを乗り越えたら、こんなに楽しい仕事はないよ」



と、テレビ界の楽しさを綴っています。