宮崎駿監督の代表作と言えば?そう聞かれれば、真っ先に「となりのトトロ」「もののけ姫」が挙るでしょう。しかし、宮崎駿最高傑作と言えば僕としては「ルパン三世カリオストロの城」を挙げなければならない。初長編監督作品であり、ルパン三世史上最高傑作と呼び声高い。あの銭形警部の名台詞「盗んで行きました、あなたの心です」は、耳がタコになるほど有名な台詞です。
日テレの金曜ロードショーで数年置きに再放送される度に、10%後半〜20%を叩き出す。国民的なアニメなわけです。でも今のちびっ子は知らないと思いますが、公開当時は興行的に不発だったわけです。興行収入が6億円なのだから、このコケっぷりが分かると思います。世間的に最初から高評価だったわけではない。たぶん、今の作品としての人気はスタジオジブリ以降だと思います。で、何故にカリ城は不発だったのか?様々な説がありますが、今回はその辺を検証して行きます。
カリオストロなう!このシーンが好きw / Yuichiro Haga
●1.時代に合わなかった説。
公開当時が1979年。時代的には、「宇宙戦艦ヤマト」であったり「機動戦士ガンダム」SF系と呼ばれる作品が全盛の時代だったわけです。「スター・ウォーズ」とも同じ時期。スターウォーズで言う戦争であったり、宇宙戦艦ヤマトで描かれた世界を救う壮大な物語。ガンダムで言う地球連邦とジオン公国の独立戦争の中で、偽札を巡るスートリーという点が観客の心を惹かなかった説があります。確かに、カリ城における冒頭のカーチェイスのシーンは宮崎駿の歴史に残る名演出なわけですよ。例えば、ルパンがクラリスのいる部屋に城をジャンプして行く演出は凄い。
ただ、10代そこそこのアムロが活躍する中で、カリ城のルパンは確実に高齢なわけですよ。クラリスに「おじさま」って言われているわけですからね。ただ、宮崎監督作品で言えば、「未来少年コナン」(これ超名作)も収益的には不発だったそうです。必ずしもSFだから成功するとは限らない。
●2.初期ルパンのイメージが強すぎた説。
ご存じの通り、今のルパンの服は「赤」です。今の世代は逆に赤=ルパンですが、一番初期のルパンのジャケットは「青」なわけです。で、カリ城のルパンのジャケットの色は「青」なわけです。今でこそルパンと言えば、栗貫のイメージでTVSPでは「ハリマオ」とか「炎の記憶」とかでユーモアたっぷりに描かれている。コミカルなルパン=ルパンなわけです。ただ、初期のルパンはそれほどコミカルではない。背中から銃で撃ったりするわけですからね。
その中でもカリ城のテーマって宮崎監督が好きな児童文学的な部分なありますよね。簡単に本作を要約すれば、お城からお姫様を救い出す王子様的なストーリーなわけで、ある意味でコミカルなんだけど、初期のディズニー作品みたいなイメージがある。ある意味で前作のマモー(ルパンVS複製人間)がアニメ的でカリ城が漫画的という表現もある。こちらは完全にハードなタッチで、興行的にもカリ城よりも良い。
で、たぶん簡単に言えば宮崎駿は新しすぎたという一面も否定はできない。一部のアニメファンの間では高評価を受けた一方。ガンダムでアムロが「オヤジにもぶたれた事ないのに」という劇的な台詞を言う一方で、あまりに洗練され過ぎていた。勿論、銭形警部が食べるカップラーメンのシーンとか、ルパンと次元がスパゲッティを取り合うシーンとか、宮崎演出は凄い。最新作の「風立ちぬ」もカリ城のようなオトナのイメージがあるが、やはりカリ城との違いは、鈴木敏夫さんの存在かもしれないです。たぶん、カリ城も鈴木さんがプロデューサーだったら興行的にもっと成功していたのもしれない。
で、最後に一つ付け加えておけば、
興行的には不発だったのものの、栗貫のルパンに通じるコミカルなルパン像を作り上げたのは、やはり宮崎駿監督なわけです。そういう意味での功績は大きい。当時としてはオトナすぎたという事なのかもしれないですね。その意味では「クレヨンしんちゃんオトナ帝国の野望」との対比も面白いのかもしれない。丁度、テレ朝でドラえもんが放送開始された時期、今とは違って子供向けアニメが中心だった時代です。クラリスの心は盗めても、観客の心は盗めなかったと。
たぶん、これは映画史に残る問題なので、年1回くらいはアニメを見まくって再度書いてみたいテーマでもあります。
最後に一つ言えば、間違いなくカリ城は名作です。
ちびっ子とかはTSUTAYAとかでレンタルすると良いのかもしれません。
日テレの金曜ロードショーで数年置きに再放送される度に、10%後半〜20%を叩き出す。国民的なアニメなわけです。でも今のちびっ子は知らないと思いますが、公開当時は興行的に不発だったわけです。興行収入が6億円なのだから、このコケっぷりが分かると思います。世間的に最初から高評価だったわけではない。たぶん、今の作品としての人気はスタジオジブリ以降だと思います。で、何故にカリ城は不発だったのか?様々な説がありますが、今回はその辺を検証して行きます。
カリオストロなう!このシーンが好きw / Yuichiro Haga
●1.時代に合わなかった説。
公開当時が1979年。時代的には、「宇宙戦艦ヤマト」であったり「機動戦士ガンダム」SF系と呼ばれる作品が全盛の時代だったわけです。「スター・ウォーズ」とも同じ時期。スターウォーズで言う戦争であったり、宇宙戦艦ヤマトで描かれた世界を救う壮大な物語。ガンダムで言う地球連邦とジオン公国の独立戦争の中で、偽札を巡るスートリーという点が観客の心を惹かなかった説があります。確かに、カリ城における冒頭のカーチェイスのシーンは宮崎駿の歴史に残る名演出なわけですよ。例えば、ルパンがクラリスのいる部屋に城をジャンプして行く演出は凄い。
ただ、10代そこそこのアムロが活躍する中で、カリ城のルパンは確実に高齢なわけですよ。クラリスに「おじさま」って言われているわけですからね。ただ、宮崎監督作品で言えば、「未来少年コナン」(これ超名作)も収益的には不発だったそうです。必ずしもSFだから成功するとは限らない。
●2.初期ルパンのイメージが強すぎた説。
ご存じの通り、今のルパンの服は「赤」です。今の世代は逆に赤=ルパンですが、一番初期のルパンのジャケットは「青」なわけです。で、カリ城のルパンのジャケットの色は「青」なわけです。今でこそルパンと言えば、栗貫のイメージでTVSPでは「ハリマオ」とか「炎の記憶」とかでユーモアたっぷりに描かれている。コミカルなルパン=ルパンなわけです。ただ、初期のルパンはそれほどコミカルではない。背中から銃で撃ったりするわけですからね。
その中でもカリ城のテーマって宮崎監督が好きな児童文学的な部分なありますよね。簡単に本作を要約すれば、お城からお姫様を救い出す王子様的なストーリーなわけで、ある意味でコミカルなんだけど、初期のディズニー作品みたいなイメージがある。ある意味で前作のマモー(ルパンVS複製人間)がアニメ的でカリ城が漫画的という表現もある。こちらは完全にハードなタッチで、興行的にもカリ城よりも良い。
で、たぶん簡単に言えば宮崎駿は新しすぎたという一面も否定はできない。一部のアニメファンの間では高評価を受けた一方。ガンダムでアムロが「オヤジにもぶたれた事ないのに」という劇的な台詞を言う一方で、あまりに洗練され過ぎていた。勿論、銭形警部が食べるカップラーメンのシーンとか、ルパンと次元がスパゲッティを取り合うシーンとか、宮崎演出は凄い。最新作の「風立ちぬ」もカリ城のようなオトナのイメージがあるが、やはりカリ城との違いは、鈴木敏夫さんの存在かもしれないです。たぶん、カリ城も鈴木さんがプロデューサーだったら興行的にもっと成功していたのもしれない。
で、最後に一つ付け加えておけば、
興行的には不発だったのものの、栗貫のルパンに通じるコミカルなルパン像を作り上げたのは、やはり宮崎駿監督なわけです。そういう意味での功績は大きい。当時としてはオトナすぎたという事なのかもしれないですね。その意味では「クレヨンしんちゃんオトナ帝国の野望」との対比も面白いのかもしれない。丁度、テレ朝でドラえもんが放送開始された時期、今とは違って子供向けアニメが中心だった時代です。クラリスの心は盗めても、観客の心は盗めなかったと。
たぶん、これは映画史に残る問題なので、年1回くらいはアニメを見まくって再度書いてみたいテーマでもあります。
最後に一つ言えば、間違いなくカリ城は名作です。
ちびっ子とかはTSUTAYAとかでレンタルすると良いのかもしれません。