2008年、スターバックスが衰退から脱出し再び成功を納めるまでの経緯を綴った自叙伝。
まず、物語として名高いスターバックスの歴史を守るためにCEOに戻るのではないということ。次に、過去の間違いを責めないこと。それは非生産的な行為だ。スターバックスが直面している問題の責任は会長だったわたしにもあるし、失敗から学ぶこともできた。それに、いま一番大切なのは、わたしたちの未来に対して強い自信を持つこと。自信がなければ良い仕事はできない。さらに、戦略と戦術だけでは、この混乱を乗り越えることはできないだろう。とくにわたしがCEOに復帰する当初は。なによりも必要なのは情熱だ。それは、多くの経営者が軽んじているものである。






日本のスタバは絶好調のようですが、本家アメリカではリーマンショック後の景気低迷で影響を受けていた。創業以来初めてとなる赤字を計上していた。そんな中、現場に復帰したのが、本書の著者でスターバックスの創業者であるハワード・シュルツ氏だ。業績改善に最も効果的な事はコスト削減。勿論、スタバも不採算店舗の閉鎖は行ったが、シュルツ氏がまず行った事は、アメリカ国内の7100店舗全ての閉鎖を決める事だったのです。



●アメリカ全店舗の閉鎖。



店の前には、こんな看板が立っていた。
完璧なエスプレッソを作るための研修です。エスプレッソを作るには訓練が必要です。わたしたちはそのために技術を磨いています。
勿論、閉鎖によって1日で何億円という売り上げを減る。ここは超重要なポイントですが、スターバックスが衰退した理由は、景気後退よりも本来持っていたスタバらしさを失った点です。例えば、家を第一の場、職場を第二の場とした場合、スタバは第三の場(サードプレイス)であるべきなのです。本書の再生物語はすなわち、本来のスタバを取り戻すための物語なのです。例えば、シュルツ氏は売れ筋であったサンドイッチを、チーズの臭いが店内にするという理由で販売停止にしました。



●スターバックスは一杯のコーヒを売る事が仕事。



その裏で一杯のコーヒーに思いを込めました。

急激な店舗の拡大と共に低下していたスタッフの質をシュルツ氏は反省します。今までは大量のミルクを一度に温めて破棄していたものを、1回に丁度良い量で温め基礎となる部分に力を入れた。1杯のコーヒーから得られる価値を最大化する。スタバはコーヒーを売る店なのです。



スターバックスにおいてシュルツ氏が徹底した事はもの凄く単純です。つまり、1杯のコーヒーを売る事。その積み重ねが売り上げに繋がる。まぁ経営の基礎となる考えです。「スターバックス体験(エクスペリメント)」を最大限に高める事で利益の増大を狙いました。アメリカでは保険に入るためにスタバで働く人も多いらしいですが、その何億ドルを削減する事で当然のように利益は増えます。しかし、シュッルツ氏は頑にそれを維持し続けました。



●お客様の価値を最大化する。



そして、ポイントシステム「リワードカード」の導入や最新POSシステムを導入したりしました。インスタントコーヒーの販売もそうです。お客さんが飲み物を作る様子を見られるように調整した新型のエスプレッソマシーンも導入しました。一杯のコーヒーや1人のお客さんに対する価値の最大化。全米数千店舗でそれを行った事で、スタバは過去最高益を達成する事ができたのです。この本から強く学べる事は地道に、そして着実に自分のたちの本業に思いを込めるという事です。



300ページ越えるので大変ですが、これは一読の価値ありです。



●まとめ



コーヒーの権威としての地位を揺るぎないものにする。



・パイクプレイスロースト

粉を店に届けるのではなく、お店で豆から直前に挽くようにした。

・マストレーナー

最新のエスプレッソマシーン。

・クローバー

コーヒーマシーン。



お客様との心の絆を取り戻す。



・スターバックスのロイヤリティープロブラム

お客さんに何度も足を運んでもらうよにする。

・スターバックスアイディアドットコム。

お客さんの意見を店舗運営に採用。

・ソーシャルメディア

世界に2700万人いるファンを獲得。



海外市場でシェアを拡大する。



・スターバックスインターナショナル。

世界のスターバックスを運営する。

・中国での事業拡大

・新しい店舗デザインとコンセプト

・商店



コーヒー豆の倫理的調達や環境保全に率先して取り組む。



・調達

フェアトレードで世界最大の取り扱い。

・環境への影響。

使用したカップな紙のリサイクル。



持続可能な経済モデルを提供する。



・コスト削減

2009年に4億ドルのコスト削減。